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大林組が一歩リード

 建設分野にICT(情報通信技術)などのテクノロジーを掛け合わせたサービスや潮流を「Construction-Tech(建設テック)」と呼ぶ。シリコンバレーでは、建設テックを手掛けるベンチャーへの投資を専門とするVCまで現れた。Brick & Mortar Ventures(ブリック アンド モルクル ベンチャーズ)(以下、B&M)だ。

 B&Mのカーティス・ロジャース氏は、「投資家の間で、建設テックへの関心が急激に高まっている」と話す。同社は8月13日、建設テック投資に特化した同社のファンドが9720万ドル(約103億円)を調達したと発表した。創業間もないベンチャーを中心に、1社当たり100万~400万ドルを投じていく〔写真2〕。

〔写真2〕建設テック専門のベンチャーキャピタルが出現
〔写真2〕建設テック専門のベンチャーキャピタルが出現
Brick & Mortar Ventures(ブリックアンドモルタルベンチャーズ、以下B&M)は2018年1月に初めてファンドを立ち上げて以降、建設テックを手掛ける16社に投資を実行してきた。創業者であるダレン・ベクテル氏は、米国の大手建設会社ベクテルの現CEOの弟に当たる。写真の右側の人物が、B&Mプリンシパルのカーティス・ロジャース氏(写真:日経コンストラクション)
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 B&Mのファンドには、大林組も投資している。北米に現地法人を持つ大林組は、シリコンバレーでの活動で他の建設会社に一歩リードしていると自他ともに認める存在だ。

 18年11月には、米アパレルベンチャー、サイズミックホールディングスに出資し、人工筋肉を衣服と一体化した「パワード・クロージング」と呼ぶアシストスーツを現場向けに開発している。世界最大規模の非営利研究機関であるSRIインターナショナルとは、配筋検査システムを開発中だ。

 大林組でオープンイノベーション戦略を指揮するグループ経営戦略室の堀井環・経営基盤イノベーション推進部長は、「機械化による生産性の向上などは喫緊の課題。うかうかしていると、配車アプリのウーバーがタクシー業界を席巻したように、異分野から建設業に参入して産業構造を変えるような例が出てこないとは限らない」と、オープンイノベーションにひた走る理由を説明する。

 有望なベンチャーや技術を自社に取り込む動きは、まだ始まったばかり。国内外を舞台に、競争はますます熾烈さを増しそうだ。