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建築分野のデジタル活用(デジカツ)を伝える連載を、ウェブ媒体「日経クロステック」に毎週掲載している。リポーターは日経アーキテクチュア・川又英紀デスク。第33回は、東京・代々木にある高級マンションの改修で実施した、躯体の3Dスキャンを取り上げた。

■「ちょい読み」版とは
日経クロステック有料会員向けの連載「川又Dが行く!建築デジカツ最前線」の一部を日経アーキテクチュア読者向けにお届けするのが「ちょい読み」版だ。日経クロステックでは、詳細な情報をスピーディーに提供中

 建物の内部を3Dスキャンして3次元座標を計測し、立体モデルを作成する。建物の改修では、こうした案件が増えている。建物のあらゆる位置から点群データを取得するためだ。

 3Dレーザースキャナーでレーザーを壁や天井に照射し、膨大な数の位置情報を収集。その集まりである点群で躯体の正確な形や寸法を割り出し、仮想的に立体で再現する。

 建築物を「点々の集合体」で表現するには、大量のデータが必要だ。集めるのは根気が要る作業である。

 一例を紹介しよう。2020年3月、東京都渋谷区に野村不動産が販売する高級分譲マンションが完成した。築35年の既存棟を改修し、新たに増築棟も設けた。地下1階・地上3階建てで、住戸の最低価格は2億円台、最高は5億円を超える。

 改修は難航した。図面は建設当時に手書きされた竣工図しか残っていない。躯体が図面通りである保証もない。野村不動産は改修の設計・施工を依頼した竹中工務店と協議。3Dスキャンで躯体の実態を把握し、竣工図に基づく立体モデルと重ね合わせて、改修プランを検討するための現況モデルを作成することにした。

 断熱性能などは現在の水準に高める必要がある。内装材を含めて全て削り取り、躯体はコンクリートの壁だけを残してスケルトンにした。