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建築分野のデジタル活用(デジカツ)を伝える連載を、ウェブ媒体「日経クロステック」に毎週掲載している。リポーターは日経アーキテクチュア・川又英紀デスク。第49回は、人の目には様々な色に見えるガラスを、事前にバーチャル体験で確かめる話を紹介した。

■「ちょい読み」版とは
日経クロステック有料会員向けの連載「川又Dが行く!建築デジカツ最前線」の一部を日経アーキテクチュア読者向けにお届けするのが「ちょい読み」版だ。日経クロステックでは、詳細な情報をスピーディーに提供中

 白黒の模様が描かれたカーペット。同じ模様が壁にもある。この不思議な部屋は、AGCの研究所にある〔写真1〕。模様は、現実空間に画像を重ねて見せるのに使う「マーカー」だ。両手で持つMR(複合現実)ディスプレーで、ガラスを仮想的に見ることができる。MRディスプレーやマーカーは、キヤノンの「MREAL(エムリアル)」を使う。

〔写真1〕MRのラボは白と黒の模様だらけ
〔写真1〕MRのラボは白と黒の模様だらけ
床や壁の模様は全て、MR(複合現実)の位置合わせに用いるマーカー(写真:日経クロステック)
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 私が見たのは、実空間に表示されたガラス板だ。サイズは実寸で、かなり大きい。もっとも、透明なガラス板の画像を現実空間に重ねても、周囲が劇的に変わって見えることはない。

 ここでAGC先端基盤研究所共通基盤技術部評価科学チームマネージャーの小林光吉氏が、ガラス板の特徴が出るところを教えてくれた。断面だ。私はガラス板を回転させた。MRなら対象物を見たい角度に変えられる。断面は5mmほどの厚さがある。「青い」。私は見たままを口にした。

欲しい色味を早く知る

 「ガラス板が厚くなるにつれて色が濃くなり、だんだん緑がかってくる」。小林氏は、本物のガラスの断面を私に見せながら話す〔写真2〕。MRなら色味を実寸の厚さで確認できる。

〔写真2〕MRでガラス断面の色味を見る
〔写真2〕MRでガラス断面の色味を見る
本物のガラスを手に取り、仮想のガラス板の断面を見るように促す担当者。断面は無色ではなく、青く見えた(写真:日経クロステック)
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 AGCは顧客が欲しいガラスを製作する際、最初に小さなサンプルをつくる。しかし顧客は、実寸で見た目を確認したいと考える。だからといって、いきなり実寸でつくって修正が発生すれば、手戻りが大きい。そこで実寸での見え方は、MRで早い段階に確認してもらう。修正があれば、そこで直す。「ガラスのアジャイル開発だ」と、小林氏は語る。

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