2020年代を前に、過去10年間に注目された住宅の使われ方を検証しよう──。そう考えたときに頭に浮かぶのは、「交流」や「共有(シェア)」の新たな形に挑んだものばかりだった。「ヨコハマアパートメント」(背景の写真)や「シェア矢来町」は、プランの工夫により家族的な交流を生み出した第1世代だ。「つながり」「絆」といった言葉が世にあふれ出した頃、東日本大震災の仮設住宅でも交流が課題となった。震災後の設計では、「tetto」のように屋外を共有したり、「シェア金沢」のように多世代を混在させたりするなど、交流を長く持続させることへの試行錯誤が始まった。それら先駆的な住宅の“今”に学ぼう。

住戸の下に広がる半屋外の土間を入居者がリビングのように共同利用する「ヨコハマアパートメント」の竣工直後(左ページ、2009年12月撮影、日経アーキテクチュア2010年1月25日号掲載)と、現在の様子(写真:2点とも安川 千秋)
住戸の下に広がる半屋外の土間を入居者がリビングのように共同利用する「ヨコハマアパートメント」の竣工直後(左ページ、2009年12月撮影、日経アーキテクチュア2010年1月25日号掲載)と、現在の様子(写真:2点とも安川 千秋)
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