「The Learning Station CROSSLIGHT」には教室と廊下の区別がない。授業が行われている傍らを、他の学生や教員が突っ切っていく。教員と職員のオフィスをフリーアドレス制としているのも特徴だ。
「『場所が学びを変える・働き方を変える』が、新校舎のコンセプトだ」と、梅光学院大学(山口県下関市)の樋口紀子学院長・学長は語る。「明るくオープンで、学生たちの感性を刺激し、学ぶ意欲を引き出す空間を目指した。個別の研究室を廃止し、教員と職員のオフィスをフリーアドレス制に改め、学生と自由に交流できるようにした」(同学長)
同大が従来から実践してきたアクティブラーニング型授業の拡充とともに、教員と職員が共同で学生を育てる「教職協働」という同大のモットーを具現化した校舎だ。
キャンパスの敷地は道路に面して東西に長く、その軸線に沿って既存の本館やホール、体育館などが並ぶ。「新校舎には、軸線に対して45度回転したグリッドを用いた」と、設計を担当した小堀哲夫建築設計事務所(東京都文京区)の小堀哲夫代表は説明する。
斜めのグリッドを重ねた平面によって動線が長くなり、学生や教員が行き交う、いくつもの交流点が生まれる。その中に、適度に壁に囲まれた大小のセミオープンスペースを連続させていった。各所に吹き抜けが点在し、3フロアの内部空間全体がつながっている。
「起伏が多く大小の道が入り組んだ、下関の都市構造がイメージの源になっている。街を歩きながら次々に広場や路地に出会うような空間を考えた」と小堀代表は語る。
1階は、ほぼ全体が教職員のフリーアドレス制オフィス。大小の空間にテーブルやカウンター、ジグザグ形のデスク、ブース席などを配したフロアで、自由に居場所を選べる。立って作業をしたり、ハイスツールやソファに座ったりといったバリエーションもある。その間が学生たちの通り道になるので、必然的に互いに顔を合わせ、挨拶を交わすことになる。