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人手不足が深刻化し、省力化や省人化のニーズがますます高まっている。日経 xTECH(クロステック)の日経アーキテクチュア「製品ガイド」でこの1年に取り上げた製品の中から、作業の効率化や簡易化、労力軽減につながる建材や設備、ツールなど合計15製品をピックアップした。

設計・施工・維持補修
ベテラン不在でも作業可能
人手減らせるハードやソフトが続々

 設計・施工の現場では、人員確保がますます難しくなってきている。労働環境を改善し、実務者の負担を少しでも軽くできる建材や設備、便利なツールに注目が集まっている。

専門職要らずの窓シャッター

 建材では「施工の簡単さ」をうたう製品が目立つ。YKK APの木造住宅用の窓シャッター「かんたんマドリモシャッター」もその1つだ。壁工事や窓の取り外しが不要で、外壁の上から後付けできる〔写真1〕。

〔写真1〕壁工事や窓の取り外しが不要に
〔写真1〕壁工事や窓の取り外しが不要に
「かんたんマドリモシャッター」の設置状況。左は設置前。中央は既存窓の周囲の外壁に、下地部材を設置した状態。右は、シャッターの取り付けが完了した様子。下地部材にシャッター枠と枠カバーを設置し、シーリング処理をしてから、シャッター部を組み込む。設置に要する時間は約2時間(写真:YKK AP)
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 設置に要する時間は窓1枚当たり、2時間程度。取り付けには2人の作業者が必要だが、左官などの専門職はいなくてもいい。従来は2人以上の専門職が1~2日かけて設置していた。

 納まりのバリエーションは、従来通りの標準と土間用に、「片入隅(いりすみ)」「ボックス下げ」「ボックス下げ片入隅」「雨戸付窓用」の4種類を追加。開閉方式は2つで、手動とリモコン操作による電動がある。シャッターは通常タイプの他に、スリットタイプも用意している。

 部材標準販売価格(税別)は、幅1606×高さ2123mm、標準納まり、下地部材「小」、リモコン装備の通常タイプで23万6600円だ。

外壁タイルとアルミ建材を融合

 他にも、ツヅキの外壁システム「レミュール」は、外壁用の薄型タイルとアルミレールを組み合わせるというアイデアで、施工を効率化した製品だ。

 躯体に縦胴縁を立てて、アルミレールをタイルの寸法に合わせて水平に設置。このアルミレールの溝にタイルを上げ落としではめ込めばよい。専門職でなくても施工でき、乾式工法なので工期が短い。既存の外壁にそのまま施工できる〔写真2〕。

〔写真2〕けんどん式でタイルを張れる
〔写真2〕けんどん式でタイルを張れる
「レミュール」は専用のアルミレールの溝に、タイルをけんどん式(上げ落としに建て込む方式)にはめ込んでいく外壁システム(写真:ツヅキ)
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 タイルは磁器製で、実寸法は297×297mm、厚さは5.5mm。重さは一般的な300mm角の陶磁器質タイルの3分の2以下と軽い。標準色はホワイトとグレー、ブラックの3種類。

 システム基本構成の標準設計価格(税別)は、1m2当たり9900円(縦胴縁や透湿防水シートは別)。