全1721文字
PR

豪雪地帯の富山県高岡市に立つ「博労町まちかどサロン」。限界耐力計算を行って構造耐力を検討し、壁の増設を最小限としながら改修前の雰囲気を残した。構造耐震指標(Iw値)は現行基準の1.0に高めた。

 富山県高岡市に立つ「博労(ばくろう)町まちかどサロン」は、かつて文房具店兼住宅として活用されていた2階建ての町家を自治体が取得し、地域住民が利用する集会所に改修したものだ。築94年の町家に耐震補強を施して、木造の構造耐震指標であるIw値1.0を実現した〔写真1〕。

〔写真1〕補強部分を意匠として見せる
〔写真1〕補強部分を意匠として見せる
改修後。板の間を撤去して段差を解消。積雪時に震度6強の地震が起こっても倒壊しないように補強した(写真:合同会社住まい・まちづくりデザインワークス)
[画像のクリックで拡大表示]
改修前の床の間部分(写真:合同会社住まい・まちづくりデザインワークス)
改修前の床の間部分(写真:合同会社住まい・まちづくりデザインワークス)
[画像のクリックで拡大表示]

 建築確認の不要な範囲での計画としたが、国の空き家再生等推進事業の補助を受けていたため現行の耐震基準を満たす必要があった。現行基準は、Iw値1.0以上だ。改修前の町家は間口方向に耐震上有効な壁が少なく、一般診断でIw値は「0」と診断された。

 博労町まちかどサロンがある高岡市は豪雪地帯特別措置法で豪雪地帯に指定されている。地震力に加えて積雪荷重の検討も必要になるため、一般診断でIw値1.0以上を実現するには、大量の耐震壁を加える必要があった。

 限られた予算内で、どうやって耐震性を確保するか。設計を手掛けた合同会社住まい・まちづくりデザインワークスの野田明宏代表は費用対効果を高めるために、町家の減築を計画した〔写真2〕。

〔写真2〕築94年の町家を改修
〔写真2〕築94年の町家を改修
かつては文房具屋兼住宅として活用されていた町家。写真中央が母屋で、写真左に見えるのが倉庫。母屋と倉庫を構造的につなげていた渡り廊下を減築して、費用対効果を高めた(写真:合同会社住まい・まちづくりデザインワークス)
[画像のクリックで拡大表示]

 改修前の町家は道路の前面側に母屋があり、母屋の奥にある倉庫と渡り廊下で構造的につながっていた。町家全体を耐震補強すると改修費用がかさむ。老朽化が進んでいた渡り廊下を減築して母屋と倉庫を別棟扱いとし、地域住民が利用する母屋だけを耐震補強する計画とした。