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20代から海外に出て、スポンサーも自ら探しながら、プロジェクトを成立させる。これまでの建築図面の表現に満足せず、都市での実験を通して新たな方法に挑む。ベテラン世代の常識に収まらず、たくましさも持つ若手2組の活動を追った。

高田 一正氏、八木 祐理子氏
PAN-PROJECTS 共同主宰

高田 一正(右)、八木 祐理子(左)(写真:日経アーキテクチュア)
高田 一正(右)、八木 祐理子(左)(写真:日経アーキテクチュア)
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高田 一正(たかだ かずまさ)、八木 祐理子(やぎ ゆりこ)
高田氏は1991年生まれ。2015年早稲田大学創造理工学部卒業、17年デンマーク王立芸術アカデミー大学院修了。17年PAN-PROJECTS共同設立 八木氏は1991年生まれ。2014年京都工芸繊維大学卒業。16年ATELIER LISE JUEL(デンマーク)勤務。17年京都工芸繊維大学大学院修了

 ともに1991年生まれの高田一正氏と八木祐理子氏は2017年、デンマーク・コペンハーゲンにPAN- PROJECTS(パン- プロジェクツ)を共同で設立した。「建築未満プロジェクト」と称し、都市内に設置するパビリオンをこれまで複数提案し、スポンサーを自ら探すことで実現してきた。

 「パビリオンならば、建築の許可申請はいらない。建築家のライセンスがなくてもいいので世界中で実現できる。30代までに経験をためて建築の設計に展開したい」と高田氏は言う。

 取り掛かりが17年9月に3日間、コペンハーゲンで開催された北欧最大のアートイベント「CHART ART FAIR(チャート アート フェア)」だ。パビリオンの設計で最優秀賞に輝いた。その都市で使用された紙を表面に用いることで、3日間だけ耐え得るパビリオンを考えた。新たなサステナブルデザインの在り方を提案するものだ。

 19年夏には、3つのパビリオンからなる「Projects Ø(プロジェクツ ウ)」のうち、文化をテーマとする「Tea house Ø(ティー ハウス ウ)」を実現した〔写真1〕。コペンハーゲンの水上を都市の公共空間とするのが目的だ。サステナブル都市に向けた市民活動を後押しすることも目指す。

〔写真1〕パビリオンをデンマークで実現
2017年9月、コペンハーゲンで開催されたアートイベント「CHART ART FAIR」に出展し最優秀賞になった「PAPER PAVILION」(写真:David Hugo Cabo)
2017年9月、コペンハーゲンで開催されたアートイベント「CHART ART FAIR」に出展し最優秀賞になった「PAPER PAVILION」(写真:David Hugo Cabo)
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19年夏に実現した「Tea house Ø」。デンマーク芸術財団の支援を受けた水上の茶室(写真:David Hugo Cabo)
19年夏に実現した「Tea house Ø」。デンマーク芸術財団の支援を受けた水上の茶室(写真:David Hugo Cabo)
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 高田氏らが考える今後の建築を動かすテーマが、サステナビリティーとテクノロジーの発展、そして多様性だ。事務所名の「PAN」とは様々な文化や人、素材などを組み合わせて統合することを意図したもの。「建築家の職能は、意味を持たない多様なものを集めて意味づけし、社会にメッセージとして提示することだと思う」と高田氏。今後はコペンハーゲンにも軸足を置きながら、憧れていた英国ロンドンに拠点を持つ。