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1950年代から60年代にかけて建てられた戦後モダニズム建築が機能更新の時期を迎えている。「現況保存」は1つの理想形だが、一方で、それでは救えず、議論すらされず消えていく多くの建築がある。

 本特集では、2019年に大きな動きがあった戦後モダニズム建築を取り上げた。それらが置かれた現状を、「現況保存」から「解体・消滅」までの5段階のレベルに分類して並べたのが図1だ。

〔図1〕戦後モダニズム建築それぞれの道
〔図1〕戦後モダニズム建築それぞれの道
本特集で取り上げた戦後モダニズム建築の現状を、「現況保存」から「解体・消滅」までの5段階に分けて整理した(写真:生田 将人、安川 千秋、日経アーキテクチュア、山田 新治郎)
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 図の左端の「現況保存」は、いずれも06年7月に国の重要文化財に指定された「広島平和記念資料館本館」と「世界平和記念聖堂」だ。重文指定なので、基本的には将来にわたり現状の保全が約束されている。

 国の重文に指定された戦後モダニズム建築は4件しかない。残る2件の1つは、ル・コルビュジエ(1887~1965年)が設計した東京・上野公園の「国立西洋美術館本館」(1959年竣工、2007年重文指定)。コルビュジエの弟子である前川國男、坂倉準三、吉阪隆正が実施設計を担当した。コルビュジエの他の主要作品とともに16年に世界遺産にも登録されている。

 もう1つは、松村正恒(1913~93年)が設計した愛媛県の「八幡浜市立日土(ひづち)小学校中校舎・東校舎」(1956年・58年竣工、2012年重文指定)だ。