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これまで一級建築士になる資格が無かった人に朗報だ。調査や評価などの業務が実務経験として認められるようになる。新たに加わる分野から歓迎の声が上がる一方、「ペーパー建築士」の増加を懸念する声も聞こえてきた。

 一級建築士試験の受験に必要な実務経験要件を厳格化し、対象実務を設計・工事監理や確認審査などに絞った2006年の建築士法改正。18年改正では、実務経験を「免許登録要件」に変更したうえで、対象実務の大幅な拡大に方向転換した。

 06年改正で除外した鉄筋工事などの専門工事の施工管理や建築行政などが復活したほか、これまで認めてこなかった調査・評価などの業務も追加した〔図1〕。また、設計業務では、基本計画の作成など、以前から対象実務に含まれていたものの明確に示されていなかった業務を明記した。

〔図1〕これだけ広がる対象実務
〔図1〕これだけ広がる対象実務
2019年11月1日時点の情報。リストは今後、更新される可能性がある(資料:国土交通省や建築技術教育普及センターの資料、取材などを基に日経アーキテクチュアが作成)
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 幅広い業務を実務経験として認めて間口を広げ、一級建築士試験の受験者数を増やすのが直接の目的だが、建築士を取り巻く環境の変化に対応する狙いもある。

 国土交通省の「建築士資格に係る実務経験のあり方検討会」(委員長:後藤治・工学院大学理事長)は18年12月の取りまとめで、既存ストックの有効利用や建築物の性能向上を進めるうえで建築士の役割が重要だとして、「建築物を調査・評価するような業務」も加える考え方を示した。

 「調査・評価するような業務」には、長期優良住宅の認定業務や建築士事務所による既存建築物の劣化状況の評価などがある。

 新たに対象となった実務の経験年数は施行日の3月1日からカウントする〔図2〕。法改正前の経験はカウントされないので注意が必要だ。

〔図2〕施行日前の実務経験はカウントしない
〔図2〕施行日前の実務経験はカウントしない
改正建築士法で新たに加わる実務の経験年数は施行日からカウントする(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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