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緑で建築の価値を高める

 「駅前から広がる緑をいかに魅力的なものとし、それを建築の価値につなげられるかが鍵だ」。三菱地所関西支店うめきた開発推進室の菅沼健太郎副室長はそう語る。

 広大な緑地の確保は、民間に事業提案を求めた際の条件だった。都市公園は民間事業者が整備し、完成後の運営も自ら行う。

 提案資料では、設計者として三菱地所設計、日建設計、SANAA、米グスタフソン・ガスリー・ニコル(以下GGN)などが名を連ねた。菅沼副室長は「GGNにランドスケープ設計の中心になってもらう。SANAAの役割は交渉中だが、全体を印象付ける部分を設計してもらうつもりだ」と語る。

 24年夏の街開き時点で、どのエリアを完成させるかは調整中という。全体完成は27年度中の予定だ。

高さ規制緩和で御堂筋が変貌

 うめきた2期の追い風もあり、梅田エリアには、大規模開発が目白押しだ。それでも、“梅田の一人勝ち”となることはなさそうだ。

 大きな波の2つ目は、「御堂筋沿道」の変貌。大阪中心部の南北軸である御堂筋の両側で、高さ規制の緩和をきっかけに、大規模開発が複数動いている〔図3〕。

〔図3〕高さ緩和と歩道化で御堂筋が激変
〔図3〕高さ緩和と歩道化で御堂筋が激変
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24~28年 うめきた2期地区(前ページ参照)

22年 グランドメゾン新梅田タワー THE CLUB RESIDENCE

うめきた2期に近い好立地のタワマン
うめきた2期の西側に積水ハウスなど5社が建設中の地上51階、総戸数871戸のタワーマンション。設計・施工は竹中工務店。JR福島駅、大阪駅とも徒歩圏

20年 モクシー大阪新梅田

ミレニアル世代向けホテル3号店
地上14階、客室数288室のホテル。積水ハウスなどが建設し、米マリオット・インターナショナルが日本3店目となる「モクシー」ブランドで運営。設計は鴻池組とワイズ・ラボ

24年 JR大阪駅・新駅ビル

うめきた2期と駅南側をつなぐ
大阪駅西側地区(うめきた2期の南側)に建設される新駅ビル。JR西日本が19年12月に公表した。地下1階・地上23階。新改札口や南北貫通通路を整備する

24年 梅田3丁目計画

塩漬けの駅前開発がようやく始動
旧大阪郵便局跡地に建設する地下3階・地上39階の複合ビル。JR西日本が19年12月に概要を公表(「旧大阪中央郵便局の跡地に超高層ビル」参照)

(資料:日本郵便)
(資料:日本郵便)
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22年 大阪梅田ツインタワーズ・サウス

延べ約26万m2の「2期」が着工
1期(ノース)の百貨店ゾーンは18年に部分開業。19年5月に着工した2期は延べ面積約26万m2で、百貨店、オフィス、ホールなどが入る

23年 中之島Multi-linkS

先端医療の国際拠点が中之島に
未来医療の国際拠点。地上17階、延べ面積約5万8000m2。大阪市が19年1月に日本生命グループを開発事業者に選んだ

25年 淀屋橋“ゲートタワー”(2事業)

向かい合う別計画の意匠を調整
御堂筋を挟む形で建設される2つの超高層ビル。別の事業者による計画だが、市が御堂筋デザインガイドラインに基づいて両者のデザイン調整を進めており、“御堂筋のゲート”のようになる。東側(パースの左)の「淀屋橋駅東地区都市再生事業」は高さ150m。事業主は日本土地建物と京阪ホーディングス、設計は竹中工務店。25年竣工予定。西側(右)の「淀屋橋駅西地区再開発」はまだ詳細が公表されていない

(資料:大阪市)
(資料:大阪市)

20年 オービック御堂筋ビル

20年 W OSAKA

23年 アパホテル&リゾート大阪難波駅タワー

2000室超の巨大ホテルを難波に
客室数2064室の巨大ホテル。JR難波駅や、31年春開業予定のなにわ筋線・新難波駅(仮称)にも近い好立地。アパグループが19年12月に用地所得を公表した

23年 難波中2丁目開発計画

センタラ・ホテル&リゾート

37年 御堂筋歩道化構想

まずは両側道を歩行者専用に
大阪市の有識者委員会は、御堂筋完成100年を迎える37年をめどに御堂筋を全面歩道化する構想(左のパース)を18年に発表した。第1段階として、25年の万博開催までに側道2車線と両脇の緑地帯を歩行空間に変えることを提案している

(資料:大阪市)
(資料:大阪市)

 かつて御堂筋沿道の淀屋橋~本町間は、建物の高さが60mに制限されていた。大阪市は14年にこの規制を緩和。低層部の軒先を高さ50mまでとし、上層部の軒先を道路側から後退させれば、「100m超」のビルも可能になった。

 また大阪市は、37年を目標に御堂筋の歩道化構想を掲げている。車の進入を制限して歩行者空間を広げるもの。社会実験などで調査している段階だが、期待の声は大きいようだ。

夢洲への動線が広域に影響

 大きな波の3つ目は「夢洲(ゆめしま)」だ。夢洲は25年に開催される大阪・関西万博に加え、統合型リゾート(IR)の有力候補地となっている。そこでの開発もさることながら、広域に大きな影響を与えるのは「動線の強化」だ。

 建設中の高速道路「淀川左岸線2期」が26年度に開通すると、夢洲への自動車アクセスが改善される〔図4〕。鉄道では、大阪市内を南北に縦断する「なにわ筋線」への期待が大きい。31年春の開通に向けて関係者が協議中。開通すると、関西国際空港と梅田、新幹線とのアクセスが向上する。また、関西国際空港では、1994年に完成した第1ターミナルが2025年万博に向け、利用者数を増やす大規模改修に着手する〔写真2〕。

〔図4〕高速道路となにわ筋線で夢洲へのアクセス向上
〔図4〕高速道路となにわ筋線で夢洲へのアクセス向上
「淀川左岸線2期」(オレンジ部)が開通すると、新大阪から夢洲方向への自動車アクセスが改善される。26年度の完成予定だが、大阪市の松井一郎市長は、「完成を万博までに間に合わせたい」と発言している。さらに、事業検討中の「淀川左岸線延伸部」が開通すると、「大阪都市再生環状道路」のリングがつながる。赤色部は31年春の開通を目指す新線「なにわ筋線」(資料:公表資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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25年 関西国際空港 第1ターミナル改修

〔写真2〕万博・IRを見据えて大改修
〔写真2〕万博・IRを見据えて大改修
関西国際空港を運営する関西エアポートは、第1ターミナルの大規模な改修を実施し、2025年までに国際線旅客の受け入れを現在の利用者数より7割強多い4000万人に引き上げる。改修と防災対策で約1000億円を投じる(写真:三島 叡)
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