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全国各地で目立つのは駅や駅周りを再整備する動きだ。交通の利便性を高めつつ、ホテルや商業施設などを一体開発して集客を狙う。CLTを使った木造耐火ビルやZEBなど環境配慮型の建築も広がりを見せている。

九州 新幹線駅舎や空港の再整備進む

■ホテル・観光施設・スタジアムなど

20年 熊本城特別見学通路
350mのブリッジで復旧過程を公開

 熊本城の復旧完了までの間、被害状況や復旧過程を安全に見学できる特別見学通路をつくるプロジェクト。全長350mの橋(見学通路)は敷地内の遺構と既存樹をバランスよく避けたルートを設定し、全て置き基礎で計画している。熊本城本丸エリアを中心に、錯綜(さくそう)する多様な復旧工事を計画的・効率的に実施しながら、復旧と公開を両立していく。総工費は約16億6000万円。

➊ 熊本市中央区本丸地内他 ➋ 熊本市 ➌ 日本設計 ➍ 安藤ハザマ・武末建設・勝本工務店JV ➎ 20年3月 ➏ 20年4月 ➐ S造、一部SRC造 ➑ 地上1階 ➒ 219.7m2
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20年 HafH熊本新町改修計画
マンション駐車場をホテルに転用

 築45年の10階建てマンションの1階駐車場と2階事務所をホテルに用途変更する。既存駐車場のピロティを生かしながら、特徴的なスロープを再構成する。斜路勾配に合わせた階段をピロティの奥まで拡張して、ホテル利用者やマンション住人、街の人々が利用できる公共性の高いエントランス空間をつくる。総工費は1億1000万円。

➊ 熊本市中央区新町4-1-28 ➋ KabuK Style ➌ 百枝優建築設計事務所 ➍ ― ➎ 20年5月 ➏ 20年6月 ➐ SRC造 ➑ 地下2階・地上10階 ➒ 3808.64m2
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21年 中央町19・20番街区再開発
鹿児島の玄関口にホールを整備

 JR鹿児島中央駅前に建てる複合ビル。低層部分の高さを周辺建物と合わせ、高層部分の外装には曲線を用いる。軽快感のある外観とし、鹿児島の玄関口としてふさわしい都市景観を形成する。駅前立地を生かして、中間階に免震構造の住宅210戸を整備。商業施設や500人規模のホールを併設し、にぎわいとゆとりある都市空間を創出する。

➊ 鹿児島市中央町19・20番の一部 ➋ 中央町19・20番街区市街地再開発組合 ➌ 三菱地所設計・東条設計・竹中工務店JV ➍ 竹中工務店 ➎ 21年1月 ➏ 21年3月 ➐ RC造(高層部分)、S造(低層部分)、免震構造(中間階) ➑ 地下1階・地上24階 ➒ 4万7735.52m2
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22年 旧大名小跡地活用事業
小学校跡地に九州初の「リッツ」

 福岡市の中心市街地、天神エリアにある旧大名小学校跡地の大規模再開発プロジェクト。市が主導する再開発促進事業「天神ビッグバン」の1つ。インバウンド層の獲得を狙って高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン ホテル」を九州で初めて誘致した。ハイグレ-ドオフィスや創業支援施設、保育施設、商業施設などを整備。地域公民館や消防分団車庫などの公共施設も取り込み、地域と一体となった施設とする。

➊ 福岡市中央区大名2-165-1、2、3 ➋ 積水ハウス ➌ 久米設計・醇建築まちづくり研究所JV ➍ 清水建設・鴻池組・積和建設九州JV ➎ 22年9月 ➏ 22年12月 ➐ S(CFT)造、一部SRC造、RC造(制振構造) ➑ 地下2階・地上25階 ➒ 9万1237m2
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■オフィス・研究施設など

20年 熊本駅北ビル
駅直結、熊本最大級のオフィスビル

 駅前広場の北側に面して建てられる熊本最大級のオフィスビル。1~3階に商業施設、4~12階にオフィスが入居。駅直結のアプローチ動線や駅利用者の通り抜け通路も整備し、熊本の「陸の玄関口」としてのにぎわいをつくる。オフィスエントランスでは木彫りの壁や熊本城天守の古瓦を再生した床材などで熊本らしさを表現する。

➊ 熊本市西区春日3-1015-3他 ➋ 九州旅客鉄道 ➌ ・ ➍ 鹿島 ➎ 20年12月 ➏ 21年1月 ➐ S造 ➑ 地上13階 ➒ 1万7547.77m2
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■庁舎・交流施設・図書館

22年 長崎市庁舎
「外殻ワッフル構造」で省エネ化

 市庁舎の建て替えプロジェクト。免震効果を高めるため、CLT木質耐震パネルと、PC+RCの柱・梁フレームで構成する「外殻ワッフル構造」を採用した。日射抑制や輻射空調、吹き抜け利用の自然換気システムなどで、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)Ready相当の環境性能を確保する。総事業費は約264億円、総工費は約241億円。

➊ 長崎市魚の町4-1の一部、4-100の一部 ➋ 長崎市 ➌ 山下設計・建友社設計・有馬建築設計事務所JV ➍ 清水建設・西海建設・長崎土建工業所JV ➎ 22年8月 ➏ ― ➐ S造、RC造、一部SRC造(免震構造) ➑ 地下1階・地上19階 ➒ 5万1747.66m2
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■インフラ施設・学校・病院・その他

20年 福岡空港国内線旅客ターミナルビル再整備
メガトラスで巨大吹き抜け空間

 3つの建物に分割されていた施設を、空港の機能を維持しながら、1棟に統合する全面改修計画。地下鉄をまたぎ3層分の躯体を吊るメガトラス構造を採用。既存構造への滑り支承も新設し、6層吹き抜けの大空間を実現した。地下鉄改札から各階、各機能へスムーズに移動できる。ファサードは緑化した緩やかな曲面庇で、近隣への圧迫感を軽減する。

➊ 福岡市博多区下臼井778-1 ➋ 福岡国際空港 ➌ 梓設計 ➍ 清水建設・銭高組・西鉄建設JV ➎ 20年1月 ➏ 20年1月 ➐ S造、一部SRC造 ➑ 地下2階・地上5階 ➒ 12万7639.75m2
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20年 高田病院新築工事
「縁側廊下」で病室近くに憩い

 JR鹿児島中央駅から1.5kmの鹿児島交通局跡地で再開発が進む「キ・ラ・メ・キ テラス」内に移転開業する回復期・慢性期病院(198床)。同時移転する急性期病院と屋内アトリウムによって接続することで、天候や降灰の影響を受けずに利用できる。外壁と病室との間に「縁側廊下」と名付けた空間を設けることで、病室近くの憩いの場とする。

➊ 鹿児島市高麗町43-11 ➋ 玉昌会 ➌ 三菱地所設計 ➍ 松尾建設 ➎ 20年9月 ➏ 21年2月 ➐ RC造、一部S造 ➑ 地上8階 ➒ 9675.67m2
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22年 九州新幹線(西九州)長崎駅建物
在来線駅舎と連続したデザインに

 九州新幹線西九州ルートの「新たな玄関口」となる駅舎の計画。上屋は、3次元曲面の構造体に膜屋根を架けて、明るく開放的な空間とする。コンコースは「長崎らしさ」をモチーフに、レンガやステンドグラスを使用。隣接する在来線駅舎と同時期に計画し、デザインを連続させることで、一体感のある大空間を構成した。工事費は約42億円。

➊ 長崎市尾上町1-1 ➋ 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 ➌ 安井建築設計事務所 ➍ 清水建設・西海建設・三基JV ➎ 21年度 ➏ 22年度 ➐ RC造、一部S造 ➑ 地上2階 ➒ 3495m2
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23年 福岡市某病院(精神科)リファイニング計画
分断された病棟を増築でつなぐ

 築53年の精神病院再生プロジェクト。度重なる増築で複雑な構成になっていた既存各棟を増築棟でつなぎ、病棟間をスムーズに移動できる効率の良い動線とする。また、南面する病室や大通りに面する病室を大幅に増やし、明るく快適な病棟をつくる。総工費は約18億~約19億円。

➊ 福岡市南区若久5-47 ➋ 慈光会 若久病院 ➌ 青木茂建築工房 ➍ ― ➎ 23年2月 ➏ 23年2月 ➐ RC造(既存部)、S造(増築部) ➑ 地上4階 ➒ 1万3991.87m2(うち今回の設計対象7172.22m2
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