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「2025年までに建設現場の生産性を20%向上する」。国土交通省が掲げた目標だ。技術者・技能者の大量離職などが迫るなか、建設ロボット普及のため、業界全体がいよいよ動き出す。

 ライバル関係にあるスーパーゼネコン同士が手を組んだ。1月30日、鹿島と竹中工務店は建設ロボットなどの技術開発で協業すると発表した〔写真1〕。両社が開発済みのロボットを相互利用しながら改良を施すほか、資材搬送の自動化や建設機械の遠隔操作などに共同で取り組む〔図1〕。

〔写真1〕鹿島と竹中がロボット開発などで異例の協業
〔写真1〕鹿島と竹中がロボット開発などで異例の協業
伊藤仁氏 鹿島常務執行役員・建築管理本部副本部長(左)、村上陸太氏 竹中工務店執行役員・技術本部長(右)。2020年1月30日、建設ロボット開発などで鹿島と竹中工務店が協業すると発表した。これまで大規模工事でJV(共同企業体)を組むか、単発の技術開発で協業することしかなかった建設会社が、包括的に手を組む意味は大きい(写真:日経アーキテクチュア)
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〔図1〕共通化できる技術を優先的に共同開発
〔図1〕共通化できる技術を優先的に共同開発
鹿島と竹中工務店の協業領域のイメージ。両社が個別に開発していた技術のうち、重複する領域に着目して選んだ。業界で共通化できるものを優先する(資料:鹿島と竹中工務店の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 協業を持ちかけたとされる竹中工務店で技術本部長を務める村上陸太執行役員は、会見でこう語った。「急速なデジタル開発が進む中、建設業は他業界に立ち遅れている。業界全体の業務改革につながる手始めになればいい」

 両社の協業の目的は、これまで個別に進めてきた類似の研究開発を共同で実施して無駄を省き、ロボットの普及を加速させることにある。

 実際に、ここ1年間で建設会社などが発表したロボット関連の開発や適用事例を眺めると、「溶接」「搬送」「点検」など、重複が目立つ〔図2〕。似たような機能で操作方法などが異なるロボットが乱立すれば、協力会社の生産性が低下しかねない。まさにそうした理由から、鹿島と竹中工務店が先陣を切ったわけだ。

〔図2〕建設ロボット開発の発表が相次ぐ
2019年2月 鹿島、オフィスビルの新築工事で溶接ロボットを本格適用
大成建設とエクサウィザーズ、遠隔操作システムとAIを連携
EMO(現、建ロボテック)・サンエス・香川大学、鉄筋結束ロボットを開発
3月 熊谷組、床コンクリートのひび割れ計測ロボットを開発
4月 竹中工務店、自走式墨出しロボットの実用化にめど
5月 きんでんとサービスロボットインキュベーションhub、照度測定ロボットを開発
6月 東急建設とTdK、資機材搬送ロボットの実証実験を開始
安藤ハザマとイクシス、BIMデータと連携した自律走行ロボットを開発
大林組、耐火被覆吹き付けロボットを開発
7月 高松建設・青木あすなろ建設・非破壊検査、壁面を走行する外壁点検ロボットを開発
8月 大成建設、溶接ロボットの効率高め適用範囲拡大
9月 鹿島、照度測定・調整ロボットで人手と作業時間を8割削減
11月 竹中工務店、溶接ロボットの作業を容易にする新工法を開発
12月 NEDO・竹中工務店・中央大学、世界初掲げる土砂搬送ロボットを開発
2020年2月 三井住友建設、鉄筋組み立てロボットの本格導入を開始
ここ1年間で建設会社などが発表した、主な建設ロボット関連の技術開発や適用事例。各社が建設ロボットの導入に積極的だが、重複する分野での開発が目立つ(資料:公表資料を基に日経アーキテクチュアが作成)

 ロボット化の進展で施工管理のやり方や工法、設計の標準化・共通化が進む可能性もある。鹿島建築管理本部副本部長の伊藤仁常務執行役員は会見で、「ロボットに向く施工方法や施工ユニットなど、標準化が進むことを期待している」と話した。