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ウレタン塗膜防水の一種で、スプレーで超速硬化ウレタンを吹き付ける複合防水の採用が増えている。同防水の先駆けであるダイフレックスで、営業推進を担う2人の担当者にメカニズムや施工について聞いた。

松村 康弘氏(右) 石川 貴紀氏(左)
松村 康弘氏(右) 石川 貴紀氏(左)
ともにダイフレックス 営業推進グループ 営業推進チーム 課長
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POINT 1 メカニズム
手塗りの限界を超える

近年、採用する設計者が増えている「超速硬化ウレタン複合防水」の特徴を教えてください。

 プライマー、「高伸長形」のウレタン、「高強度形」の超速硬化ウレタン、トップコートで構成する防水工法の総称が超速硬化ウレタン複合防水です。高伸長形と高強度形の2種類のウレタンを複合しているのが特徴です。高伸長形は手塗り、高強度形は機械を用いた吹き付け施工(スプレー)です。吹き付けた超速硬化ウレタンは、30秒で指触乾燥し、3分ほどで上を歩くことができ、露出防水を前提とした性能を有しています〔図1〕。

〔図1〕2層のウレタンの上に保護層
〔図1〕2層のウレタンの上に保護層
超速硬化ウレタン複合防水(クイックスプレー複合工法)の構成(写真・資料:ダイフレックス)
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 高伸長形と高強度形は、どちらも日本産業規格(JIS)に性能が規定されています。それらを防水工法として複合する利点はいくつもあります。1つ目は下地の亀裂に対する抵抗性が高まる点です。高強度形の超速硬化ウレタンだけでも十分に伸びますが、高伸長形のウレタンを複合することで、下地の亀裂に対する抵抗性の安全率はより一層高まります。

 2つ目は、ピンホールの防止(仕上がり性の向上)です。スプレー施工には、どうしてもピンホールが生じるリスクがあります。初めに手塗りウレタンを施工することで、そのリスクを回避できます。

 3つ目は、手塗りウレタンの性能限界を超えられる点です。手塗りのウレタン防水工法は50年以上の実績がありますが、確保できる性能値に限界がありました。

 その限界を超えるために必要だったのが、機械で吹き付け、すぐに固まる樹脂です。スプレー施工の超速硬化ウレタンを組み合わせ、手塗りの限界を超えることができ、用途が格段に広がりました。

緑化用の工法も開発

 また、手塗りのウレタンは、土中緑化基盤や押さえコンクリートの下には適用できず、アスファルト防水を押さえコンクリートで仕上げるしかありませんでした。しかし、土壌の下でも諸性能(耐久性)を維持し、樹木の根に破られず、水がたまっても変化が生じないウレタン樹脂を開発できたことで緑化土壌などの防水工法としても使えるようになりました。

 さらに2018年10月、「建設技術審査証明」を取得し、「通常の歩行」の用途での使用が認められました。それまで「通常の歩行」の用途は、アスファルト防水を押さえコンクリートで仕上げるしかありませんでした。それが、保護層の不要な露出防水の超速硬化ウレタン複合防水で対応できるようになり、屋上の軽量化や工期短縮が可能になりました。これは、最近の超速硬化ウレタン複合防水の普及に勢いをつけている要因です。