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アスファルト防水で用いるアゴ付きのパラペットや押さえ金物を変えられないか──。日建設計の多喜茂氏はウレタン複合防水にいち早く注目し、独自の窓まわりを追求する。

たき しげる:1966年生まれ。89年金沢工業大学建築学科卒業、91年同大学大学院修了、日建設計入社。「関西外国語大学インターナショナルコミュニケーションセンター」(2012年)や「新ダイビル」(15年)、「豊中市立文化芸術センター」(16年)などの設計を担当(写真:日経アーキテクチュア)
たき しげる:1966年生まれ。89年金沢工業大学建築学科卒業、91年同大学大学院修了、日建設計入社。「関西外国語大学インターナショナルコミュニケーションセンター」(2012年)や「新ダイビル」(15年)、「豊中市立文化芸術センター」(16年)などの設計を担当(写真:日経アーキテクチュア)
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超速硬化ウレタン複合防水が出たてのときから用いていますね。

 1991年に入社した当時はアスファルト防水が一般的で、アゴ付きのパラペットがどのプロジェクトにも求められる中で新しいデザインを考えていました。2000年ごろになると、発注者から建設費の削減を厳しく求められ、様々な部位で金物をやめられないか考え始めました。

 超速硬化ウレタン複合防水の登場以来、私は超高層ビル以外では、これを積極的に使ってきました。初めのうちは、「意匠性を高めるためにパラペットを小さくしたいだけだろう」と言われました。しかし、押さえ金物が不要で、屋上緑化に押さえコンクリートなしで対応できるほか、軽くて耐震性に優れ、既存建物を耐震補強する際に長所となり、時代の流れに合致しました。アスファルト防水と違って施工時に臭気もありません。

 私の担当物件で採用例が増え、クライアント側の理解も得やすくなりました。もちろんアスファルト防水への信頼は今も根強く、超高層ビルの屋上で、めったに人が出ないような場合は、使うこともあります。

関西外国語大学インターナショナルコミュニケーションセンター(2012年)
ウレタン防水でGRCと一体に

庇が全周を取り巻くデザインが特徴となっています。

 透明なファサードを深い庇で守る大学施設です。屋内天井はGRC(ガラス繊維強化セメント)板で、スラブに打ち込みました。外部はGRCを型枠代わりにコンクリートで庇をつくり、内外を連続させました〔写真1〕。

〔写真1〕各階を深い庇で囲む
〔写真1〕各階を深い庇で囲む
「関西外国語大学インターナショナルコミュニケーションセンター」は、各階を深い庇で囲む。中庭に面する部分はウッドデッキ仕上げ。大阪府枚方市の同大学中宮キャンパスに位置している(写真:日建設計)
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 庇の上面は外側に向かう水勾配ですが、ドレン部分では水を室内側に引き戻して落とすことで、庇先端のといをなくしました。このように複雑な形状は超速硬化ウレタン複合防水がなければ実現できません。

 GRCを型枠として現場コンクリートを打ったときの打ち継ぎ目地も、この防水ならば、一度に吹き付けて、そのまま仕上げとすることができます。

 この庇には、レール上の架台に緑化システムを組み込み、内部の床から外部の緑へと視線がつながるようにしました。そのため耐バクテリア仕様の防水を採用。雨で緑化プランターがぬれても、自然乾燥するようにプランターを浮かせました。

防水・納まりのポイント
  • 超速硬化ウレタン複合防水によって、アゴ付きのパラペットをコンパクトに納める
  • 緑化の導入時は、スラブに土が触れなくても、耐バクテリア性の防水仕様を選択
  • RCとGRCといった異種素材の取り合いも、超速硬化ウレタン複合防水で実現