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アルミ材やプレキャストコンクリートで仕上げた白くミニマルなデザイン――。こんな特徴を持つ花岡郁哉氏の設計は、実は緻密だ。汚れに配慮しながら快適な光環境を生み出す。

はなおかいくや:1975年生まれ。2001年東京大学大学院修士課程修了、竹中工務店入社。16年より同社東京本店設計部にて、先進的な取り組みを行うアドバンストデザイングループのリーダーを務める。「池袋第一生命ビルディング」(14年)、「ハナマルキみそ作り体験館」(18年)、「EQ House」(19年)、「リバーホールディングス本社」(20年)などの設計を担当(写真:山田 愼二)
はなおかいくや:1975年生まれ。2001年東京大学大学院修士課程修了、竹中工務店入社。16年より同社東京本店設計部にて、先進的な取り組みを行うアドバンストデザイングループのリーダーを務める。「池袋第一生命ビルディング」(14年)、「ハナマルキみそ作り体験館」(18年)、「EQ House」(19年)、「リバーホールディングス本社」(20年)などの設計を担当(写真:山田 愼二)
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省エネや快適性の確保に加え、防水や雨水処理も緻密に検討したファサードが多いですね。

 私はこれまでに、様々な用途や規模の建築を設計してきました。オフィスについては特に中規模の建物を多く手掛けています。

 オフィスが企業・団体の本社・本部ビルの場合、多くはクライアントが長期間にわたって所有・運営するため、設計では省エネ性能や快適性が重視されます。大きなテーマになるのが「温熱環境」と「光環境」です。

 中規模オフィスの設計は、ワンフロアの居室面積が200m2、500m2を境にして内と外の関係が大きく変わります。例えば、「日本海事検定協会本部ビル」は200m2を切っています。一方、「カンダホールディングス本社」は200m2を超える広さです。

 同じ中規模でも、ワンフロアの居室面積で設計の手法は異なります。ファサードデザインも全く違うものとなり、それぞれに雨水処理や汚れ対策などの納まりを考案しています。

防水・納まりのポイント
  • 水平ルーバーは、汚れ防止のため、排水用の溝を切るとともに縦どいのルートも確保
  • PCaにガラスを直接はめ込む納まりは、サッシと同様な排水機構を持たせて実現
  • 外装の表面が雨垂れで汚れないように、背後に雨水が流れる水みちをつくる