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戸建て住宅の改修に断熱工事が含まれる場合、どれぐらいの性能水準を目指すのか。また、改修工事のポイントは、どこにあるのか。筆者らの経験、および国の「省エネ基準」などを手掛かりに解説する。

 断熱性能の水準は原則として、新築でも改修でも前回触れたHEAT(ヒート)20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)のG2グレードかそれ以上を目指す必要があると考えている。

「G2」は、HEAT20が推奨する水準の1つ。「2020年基準」は、適合義務化が見送りになった「次世代省エネ基準」(1999年改正省エネ法)を指す。全館暖房で室温20℃を保持する場合を試算した。1年間当たりの灯油消費は暖房負荷10kWhに対して1リットルと仮定し、18リットルのポリタンクで換算。Q値、UA値は省エネ地域区分6の数値(資料:書籍「これからのリノベーション  断熱・気密編」(著=伊藤菜衣子、竹内昌義、松尾和也)を基に日経アーキテクチュアが作成)
「G2」は、HEAT20が推奨する水準の1つ。「2020年基準」は、適合義務化が見送りになった「次世代省エネ基準」(1999年改正省エネ法)を指す。全館暖房で室温20℃を保持する場合を試算した。1年間当たりの灯油消費は暖房負荷10kWhに対して1リットルと仮定し、18リットルのポリタンクで換算。Q値、UA値は省エネ地域区分6の数値(資料:書籍「これからのリノベーション 断熱・気密編」(著=伊藤菜衣子、竹内昌義、松尾和也)を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 しかし、現実には既存家屋の状態によって制約が生じる。そこで「次世代省エネ基準」(1999年改正省エネ法が当初20年までの適合義務化を示した基準)はクリアしたいと私たちは説いてきた。G2と同基準の仕様の違いを〔図1〕に示す。

〔図1〕HEAT20のG2グレードと2020年基準(次世代省エネ基準)の仕様比較(目安)
〔図1〕HEAT20のG2グレードと2020年基準(次世代省エネ基準)の仕様比較(目安)
HEAT20の推奨するG2グレードと、国の「次世代省エネ基準」(1999年改正省エネ法)を達成するための断熱仕様の目安。一般的な規模であれば両者の間に初期投資150万~200万円の差が生じる。XPSは押し出し法ボリスチレンフォーム、HGWは高性能グラスウール、PFはフェノールフォーム(資料:書籍「これからのリノベーション 断熱・気密編」(著=伊藤菜衣子、竹内昌義、松尾和也)を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 同図のように断熱仕様の目安は示せるのだが、それだけを見て「屋根(天井)の断熱材は何センチ、外壁は、床は」と決めるのは非常に危うい。また、「暖かい家」かどうかを主観で打ち合わせると建て主の後々の不満を招きかねない。新築か改修かを問わず、断熱性能を確保するには、設計者あるいは協力する専門家が計画段階で省エネ計算(温熱計算)を行ってほしい。

 市販の省エネ計算ソフトの扱い方には、大きな変わりはない。改修であれば、あらかじめ屋根、外壁、床の方角や面積、開口部の配置などは分かっているので、各部位の仕様を選んで建物の外皮平均熱貫流率(UA値)を算出する。そのモデルに、気象データを適用して計算すると年間の冷暖房負荷が分かる。

 私たちは、作図(CAD)と連動させる省エネ住宅設計支援ツール「建もの燃費ナビ」を使っている〔図2〕。図形ではなく、エクセルのみを用いるソフトとして、新住協(新木造技術研究協議会)の開発した「QPEX(キューペックス)」なども、手ごろなものとしてお薦めできる(下の囲み記事を参照)。

〔図2〕建物の「燃費」性能を建て主と共有する
〔図2〕建物の「燃費」性能を建て主と共有する
(1)「建もの燃費ナビ」による温熱計算時の画面。平面図、屋根形状、高さなどを作図し、各部位の断熱パターン、外皮の性状などを選択する
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(2)計算モードで、外皮の断面構成、床・外皮の面積、サッシ寸法などを決める
(2)計算モードで、外皮の断面構成、床・外皮の面積、サッシ寸法などを決める
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(3)建物の燃費(年間冷暖房負荷)や光熱費シミュレーションを表示してくれる。比較的廉価な12万円ほど(CADオプションは別途)で購入できる
(3)建物の燃費(年間冷暖房負荷)や光熱費シミュレーションを表示してくれる。比較的廉価な12万円ほど(CADオプションは別途)で購入できる
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(資料:みかんぐみ)
EXCELで断熱性能を計算

 QPEX(キューペックス)は、新住協(新木造住宅技術研究協議会)がリリースする「断熱性能・省エネ性能計算プログラム」(開発は室蘭工業大学鎌田研究室)。EXCEL(エクセル)のマクロを使うツールで、天井、壁、基礎の構成や断熱仕様、開口部の種類などをリストから選ぶと、住宅の熱損失係数やUA値、年間冷暖房エネルギーなどを算出してくれる〔図3〕。

〔図3〕断熱仕様のパターンを試行錯誤
〔図3〕断熱仕様のパターンを試行錯誤
日射取得熱、室内発生熱など関連する指標も自動算出されるので、単純に灯油量だけで判断せず、試算・比較を繰り返しながら最適の断熱パターンを探ることができる。入手方法(無償)は新住協のサイトを参照(資料:新住協)
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