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光井純氏を筆頭に、安田幸一氏や中村拓志氏、谷尻誠氏/吉田愛氏など参加した建築家は精鋭ぞろい。外装デザインに各自の持ち味を出しつつ、街全体の調和を保つという難題にどう向き合ったのか。

 敷地内の全体デザインを統制するため、特定建築者は最初に「デザインガイドライン」をまとめた。とはいえ、ガイドラインは参加する25人の建築家やデザイナーを縛り付け、個性を殺すものではない〔写真1〕。

〔写真1〕25人の多彩な顔ぶれがそろった
〔写真1〕25人の多彩な顔ぶれがそろった
3人のマスターアーキテクトを筆頭に、建築、ランドスケープ、照明を担当する合計25人の建築家やデザイナーが建物の外装デザインや広場、中庭などの設計に関わった(写真:日経アーキテクチュア)
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 「建物の分節や壁面構成などのボリュームコントロール」「街全体の色彩計画、素材感や細部への配慮」「低層部の張り出しによるにぎわい創出、建物の圧迫感の軽減」「緑による魅力的な都市空間を創出するランドスケープ計画」などが盛り込まれた。

 建物ごとに異なるファサードの写真を見てもらった。建築家やデザイナーの違いで、バリエーション豊かな外観が生まれた。参加した25人は、まず特定建築者が光井氏を指名し、次いで同氏の推薦を含め「この棟はこの人に頼みたい」という候補者に打診して決めた。

 HARUMI FLAGは一体感のある街並みを大切にする。そのため、街区や隣にある建物同士の外装デザインが影響し合うよう、建築家に仕向けている。色彩や付け柱、分節の仕方などを互いに読み取る。それが「デザインリレー」である。HARUMI FLAGは街区や建物が隣り合ってできる外部空間のデザインに強くこだわった。そうして連続性を生み出している。

 実現は容易ではない。ユニークな建物の設計で名を上げた建築家がそろう。それぞれがプライドを持って参加している。安田アトリエ(東京都目黒区)主宰の安田幸一氏や、NAP建築設計事務所(東京都港区)主宰の中村拓志氏、サポーズデザインオフィス(広島市)共同主宰の谷尻誠氏と吉田愛氏といった著名な建築家がしのぎを削る。

 こうした人たちが互いの建物を意識し、隣に外装デザインのバトンを渡す。マスターアーキテクトの光井氏は、建築家やデザイナーが集まる会議を16年から30回以上も開いた〔写真2〕。何度も意識合わせとレビューをするためだ。建物の4面が全て見られる環境なので手を抜けない。

〔写真2〕著名な建築家らが激論を交わした
〔写真2〕著名な建築家らが激論を交わした
2年間で30回以上の全体会議(デザインミーティング)を開いた。各自が担当する建物の模型を持ち寄り、隣とのバランスや出来映えを確認した(資料:HARUMI FLAG広報事務局)
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 会議には全員が200分の1スケールの模型を持ち寄った。ファサードには色を付けている。模型を配置していくと、大会議室が埋め尽くされる。巨大な街全体の模型の周りに、特定建築者からの参加者を含めた数十人がひしめき合って意見を言う。

 こうして隣の建物とのバランスを確認し合う経験は、ベテランの建築家でもなかなかないことだ。「全員の外装が横並びで比較されるので、デザインの出来が悪いと目に付く」(光井氏)といい、競争にもさらされる。この場で様々な問いかけや感想が飛び交うと、「修正後に全体のデザインレベルが上がるのを感じた」(光井氏)

 模型では分かりにくい外装材や手すりの素材感などを確かめるため、使用したい部材の現物を全部並べ、全員で見比べたりもした。

 なお、25人の構成は次の通り。マスターアーキテクトは光井氏を含むJMAの3人。ランドスケープは、鳳コンサルタント(大阪市)環境デザイン研究所設計室長/東京サテライト長の中野正則氏ら3人。ライティングは、内原智史デザイン事務所(東京都港区)主宰の内原智史氏ら3人。

 他に各街区の建築家やデザイナーは、JMA、サポーズデザインオフィス、三菱地所設計、安田アトリエ、NAP建築設計事務所、ケミカルデザイン(東京都渋谷区)、日本設計、日建ハウジングシステム(東京都文京区)、ランドアートラボ(東京都中央区)から、それぞれ1~3人が参加している。

 次ページからは、外装デザインに関わった3つの事務所を代表する建築家の生の声をお届けする。