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参加した建築家が語る3
SUN VILLAGE B棟・C棟
揺らぎのある表情をつくる

谷尻 誠氏(たにじり まこと)、吉田 愛氏(よしだ あい)

サポーズデザインオフィス共同主宰

谷尻:1974年生まれ。94年穴吹デザイン専門学校卒業。本兼建築設計事務所、HAL建築工房を経て、2000年サポーズデザインオフィスを設立。14年同社を改組、共同主宰。15年より大阪芸術大学准教授
吉田:1974年生まれ。94年穴吹デザイン専門学校卒業。井筒、KIKUCHI DESIGNを経て、2001年サポーズデザインオフィス。14年より同社を共同主宰(写真:木村 輝)

 最後に、三菱地所設計とサポーズデザインオフィスが担当した2棟を紹介する。SUN VILLAGEの北西に位置し、運河を挟んだ対岸から建物がよく見える。両社が目指したのは「揺らぎのある有機的な表情づくり」である。

 そのために縦方向のフィンと、横方向のフレームのつくり方を工夫した〔写真6〕。さらに手すりのデザインにバリエーションを持たせた。

〔写真6〕階層ごとに手すりのデザインを変更
〔写真6〕階層ごとに手すりのデザインを変更
手すりは笠木部分の奥行きが230㎜ある。海を見ながらコーヒーを飲んで、カップを置けるようにした。焦げ茶色の軒天に付く樋は同じく茶色にして、色を合わせた(写真:北山 宏一)
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 プレキャストコンクリートによる縦方向のフィンは中央にくぼみを付けている(写真を参照)。メインフレームとしたバルコニーのスラブ(軒裏が焦げ茶色のスラブ)も、見付けの中央に溝を設けた。いずれも影ができるようにするためだ。

 サブフレームの見付けは段々状、ノーマルフレームの見付けはフラット。これらを「シンプルな規則性の中で、多様な見え方が生まれるように配置していった」と谷尻誠氏は話す。

 バルコニーの平面は、外側の線が互い違いに斜めになっているところがある。手すりは低・中・高層部でルーバーの間隔が異なり、低層部は本数が多い。西側の建物(B棟)には手すりの一部に立ち上がりも設けている。

対岸から見ると表情が変わる

 デザインの差異は、遠景での見え方も意識したものである〔写真7〕。写真左の建物(C棟)は、NAP建築設計事務所が手掛けた建物(D棟)に合わせて、縦方向のフィンを強調した。一方、右側の建物(B棟)は手すりの立ち上がりで、さざ波のような動きを表現している。吉田愛氏は「外観の随所に細かく個性を与えていった」と振り返る。

〔写真7〕対岸から見ると際立つ縦のフィンと横のフレーム
〔写真7〕対岸から見ると際立つ縦のフィンと横のフレーム
HARUMI FLAGの北西の対岸から、SUN VILLAGEのB棟とC棟を見た様子。縦横のラインや手すりが部分ごとに強調されているのが分かる(写真:HARUMI FLAG広報事務局)
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 外装仕上げにタイルを使っていないのも特徴だ。コンクリートの風合いや質感を感じられるよう、カラークリア塗装で仕上げた。

 手すりは木をイメージして、アルミに焦げ茶色の塗装を施した。バルコニー奥の外壁はベージュ色だ。

 東京都の景観色彩ガイドラインに従って、外装には明るめの色を選ばなければならない。ただし軒天はその制約外なので一部は焦げ茶色にし、外観にアクセントを付けた。