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設計者、施工者とも改正民法で影響が大きいとみられているのが、契約解除に関する規定だ。契約解除の要件から「責めに帰すべき事由」が外れたたことで、より「契約打ち切り」に備える必要が出てきた。

 一般的な設計契約は、発注者に設計図書などの成果物を納品し、設計料の支払いを受けることで完了する。発注者には中止権があるが、旧民法において「契約解除」できるのは設計者側に帰責事由(責めに帰すべき事由)がある場合に限られた。

 改正民法は契約解除について帰責性要件を外した。契約当事者同士が任意に契約関係の拘束を解くルールと位置付けられたのだ〔図1〕。

〔図1〕設計者側からの契約解除もできる
〔図1〕設計者側からの契約解除もできる
四会連合設計契約約款は従来、モラルハザード防止の観点から受託者側からの任意の契約解除を認めてこなかったが、改正民法を受けて方向転換した。課題は解除後の清算ルールだ(資料:取材に基づき日経アーキテクチュアが作成)
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 この改正を受け、四会連合設計契約約款は契約の双務性の観点から「受託者側からの任意の契約解除権」を新設した。同約款としては初めてだ。ただし設計契約の場合、契約解除が生じた段階で発注者側へ交付する成果物がない可能性がある。解除までに要した作業量などから報酬を算定するなど、明確な清算ルールを定めておく必要に迫られる。

 一方、損害賠償にも直結する債務不履行を理由とした契約解除は、要件が明確化された。相手方の帰責事由とは関係なく、契約不適合が「契約および取引上の社会通念に照らして軽微」ではない場合、契約解除できるというルールだ〔図2〕。

〔図2〕債務不履行があった場合のルールも明確化
〔図2〕債務不履行があった場合のルールも明確化
債務不履行を理由とした契約解除のルール。契約違反が深刻な場合など要件を明確化(資料:取材に基づき日経アーキテクチュアが作成)
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