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「ビジネスチャンスだ」「いやリスクは拡大した」。契約約款の改訂に携わった建築実務者の間でも改正民法の印象は交錯している。今後、建築行為に関する責任範囲や、業務の前提条件が変わる可能性もある。

板橋弘和
板橋弘和
四会連合協定建築設計・監理等業務委託契約約款調査研究会運営委員会委員、久米設計設計本部技師長(写真:日経アーキテクチュア)

 日経アーキテクチュアは今回、建設産業への影響について、複数の契約約款の改訂に携わった有識者に取材した。

 「民法改正に伴う契約書類の見直しは設計者のチャンスになり得る」。そう語るのは、四会連合設計契約約款の改訂に携わった板橋弘和氏(久米設計設計本部技師長)。「契約書類の見直しを機に、設計などの基本的な業務の他に追加で提供する業務内容を明確にすれば、業務量に見合う報酬を請求できる。従前は無償で行う追加的な業務があったので設計料収入の増加につながる」と語る。

設計者は契約を勉強すべきだ

天野禎藏
天野禎藏
四会連合協定建築設計・監理等業務委託契約約款調査研究会運営委員会委員、天野アーキコンサル代表(写真:日経アーキテクチュア)

 板橋氏は、業務内容の明確化は受発注者双方の生産性向上のためにも進めるべきだと語る。情報共有の密度が上がり、認識の食い違いからくるトラブルを事前に予防できれば、プロジェクト遂行の速度も上がる、と前向きに捉える。

 改正民法を機に、「設計者はもっと契約に関心を持つべきだ」とする声も上がる。四会連合設計契約約款の改訂に携わった天野禎藏氏(天野アーキコンサル代表)の意見だ。

 「契約は設計者の基本的な業務内容を示す。設計者はデザインや先端的な技術の知識を習得するのと同時に、プロとして契約の知識を身に付けるべきだ」と天野氏は説く。