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 日立AMSが免震オイルダンパーの製造事業から撤退することで波紋が広がっている。今後の免震建物の設計にどのような影響が生じるのか。

 前出の熊本県宇土市新庁舎の設計を手掛けた久米設計九州支社の担当者は、「KYBなどは新規受注を再開していない。日立AMSが事業から撤退したので、今や免震オイルダンパーを使えない」と悲嘆する。

 国土交通省は2019年3月、免震・制振オイルダンパーの検査データを改ざんしていたKYBや川金HDなどに対して指示書を交付した〔図1〕。指示書では、「不適合品の交換のめどが得られるまでの間、新規受注とこのための確認申請を見合わせる」と明記している。

〔図1〕国交省が新規受注を見合わせるように指示
〔図1〕国交省が新規受注を見合わせるように指示
国土交通省がKYBに交付した指示書。不適合品の対応のめどがつくまでは新規受注を見合わせるように指示。川金ホールディングスに対しても同様の指示書を交付した(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 それから1年。不適合品の交換問題は未だに解決していない。両社がウェブサイトで公表している不適合品への対応の進捗状況によると、不適合品についての調査対象件数はKYBが991件、川金HDが103件に上る。そのうち交換などの対応に取り掛かれていないのはKYBが230件、川金HDが42件だ〔図2〕。

〔図2〕KYBは230件で「協議中」
〔図2〕KYBは230件で「協議中」
KYBと川金ホールディングスが公表した不適合品への対応状況。KYBは構造安全性の検査を終えていない物件がある。川金ホールディングスは、交換などが完了していない42件のうちの大半は、対応方針が決まっているとした。数値は2019年12月31日時点のもの(資料:KYBと川金ホールディングスの資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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