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熊本県は「創造的復興に向けた重点10項目」、熊本市は「震災復興計画」をそれぞれ掲げ、2019年度末を1つの区切りに復興事業を進めてきた。単なる復旧ではない“創造的復興”は実現できるのか。熊本城や益城町、熊本空港、商業施設について、復興が進む現場を取材した。

 熊本県では、2016年8月に「熊本地震からの復旧・復興プラン」を作成し、17年3月に「重点10項目」を公表している。

 重点項目の1つである「熊本城の復旧」は、多くの市民が完成を心待ちにしている事業だ。天守閣を制振化するほか、石垣を含めた城郭全体の復旧工事は38年まで続く見込み。

 長期にわたる復旧工事の様子を観光資源にするため、熊本市は19年10月から外観の一般公開を始めた。20年4月には、大天守閣の周りを囲むように整備した、全長約350mの「特別見学通路」が完成した〔写真1〕。特別見学通路からは、崩れた石垣や国重要文化財の櫓(やぐら)群などの復旧工事の様子を見学できる。

〔写真1〕特別見学通路が完成間近
〔写真1〕特別見学通路が完成間近
2020年3月に撮影した完成間近の熊本城特別見学通路。構造は鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造
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熊本市は19年10月から大天守閣の外観の一般公開を始めたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月から当面中止としている
熊本市は19年10月から大天守閣の外観の一般公開を始めたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月から当面中止としている
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(写真:イクマ サトシ)

 熊本城総合事務所の濵田清美副所長は、「特別史跡区域なので、本来は“異物”を建てられない。文化庁の許可を得て仮設物として特別見学通路の建設を進めている」と説明する。復旧の様子を見せることが文化財保護につながるとして、通路の解体期間を含めて38年度までの設置許可を文化庁から得た。

 遺構に影響を与えないように杭は打っていない。全て置き基礎で建設している。アーチなど複数の構造を組み合わせて支柱を少なくしており、最大スパンは50mを超える。

 濵田副所長は、「熊本城は、文化財と観光資源、都市公園の3つの顔がある。復旧が進む様子を間近で感じてほしい」と期待を寄せた。