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構造体の耐震化が進む一方で、対応が遅れているのが外壁や窓といった非構造部材だ。その耐震診断を可能にするのが「既存建築物の非構造部材の耐震診断指針・同解説」だ。既存建物が抱えるリスクを明らかにする。

 「既存建築物の非構造部材の耐震診断指針・同解説」は、一般財団法人の日本建築防災協会と国土交通大臣指定の耐震改修支援センターが2019年3月に発表した。

 対象とする建物は、耐震性能が確保されている高さ31m以下の一般的な建物で、木造は想定していない。「構造の耐震診断基準が旧耐震基準で建てられた建物を対象としているのに対して、非構造部材の耐震診断指針は新旧の耐震基準で建てられた一般的な建物を対象としている。新しい建物でも、非構造部材の耐震性能については、きちんと確認されていないものがあるからだ」。日本建築防災協会の理事長で、指針をつくる委員会の委員長を務めた坂本功・東京大学名誉教授は、こう説明する。

 診断には、簡易な1次診断法と詳細な2次診断法がある。

 1次診断法は、構造計算などを必要とせず、専門的な知識がなくても診断ができる。構造種別や構造形式、建物用途から、非構造部材の種類ごとに判定する〔図1〕。吹き抜けがある鉄骨造なら、窯業系サイディングは「危険性大」と読み取れる。

〔図1〕1次診断法では構造種別や構造形式に応じて非構造部材の耐震性を診断
〔図1〕1次診断法では構造種別や構造形式に応じて非構造部材の耐震性を診断
1次診断法で用いる表の一例。上記は「外壁」の一部抜粋。外壁以外に、内壁、開口部、天井がある。表中の「危険性大」とは、地震時に著しい損傷が発生する危険性が高い。改修が望ましい。「要注意」とは、地震時に何らかの損傷が発生することもある。「危険性小」とは、地震時に何らかの損傷が発生する危険性は低い(資料:「既存建築物の非構造部材の耐震診断指針・同解説」を基に日経アーキテクチュアが作成)
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