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BIMデータを一気通貫で設計から施工につないで生産効率を高める――。製造業を見習ったBIM化は進展しなかったが、施工プロセスに特化することで大きく前進した。発注者のBIM活用ニーズが今後高まれば、設計プロセスにも一気に浸透する可能性がある。

 国土交通省は2019年6月に建築BIM推進会議を設立し、BIM活用による将来像を掲げた。(1)高品質、高精度な建築生産、維持管理の実現、(2)高効率なライフサイクルの実現、(3)社会資産としての建築物の価値の拡大――の3つがテーマだ。

 将来像の実現に向けて、一番の課題といえるのはプロセス間の断絶だ。設計や施工の各過程で個別にBIMを活用している場合が多く、BIMによる情報の一貫性が確保できていない実態がある。

確認申請がBIMの流れ止める

 断絶が生じる1つの要因が建築確認だ。指定確認検査機関の日本ERIは18年からBIMを使った事前審査の実績を積んできたが、「建築確認は図書で審査することが定められており、データでは本審査できない」と同社の馬野俊彦社長は話す。

 そのため、BIMで設計していても最終的に申請図の作図を優先し、BIMデータを更新しなくなることが多い。日本建築センターと日本ERIが事務局を務める「BIMを活用した建築確認における課題検討委員会」(委員長:松村秀一東京大学大学院特任教授)は19年3月に、BIMによる確認申請図面表現の課題などについて報告書を公開した。

 情報の流れを止めないために、建築以外の動きも注視しておくべきだ。建物に関するICT(情報通信技術)などの活用はBIMがプラットフォームになる〔図1〕。「今はデータの在り方が様々だが、統合を想定しておく必要がある」と、BIMの活用法を模索している大成建設建築総本部デジタルプロダクトセンターBIM推進担当主任の池上晃司氏は話す。

〔図1〕BIMは他の技術との連携に向けたプラットフォーム
〔図1〕BIMは他の技術との連携に向けたプラットフォーム
ICTなどを活用しようとする動き。主導者が複数にわたり、並行して進んでいる。建物や都市に関する技術はBIMがプラットフォームになり得るが、これらの技術を連携して最大限の効果を得るためにはデータの形式などをルール化しておく必要がある(資料:大成建設への取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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