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新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が普及した結果、オフィスに求められる役割や機能が大きく変化しそうだ。ワークプレイス設計の先駆的企業であるゲンスラーは、3つの「Re」を経て変革が進むとみる。

 緊急事態宣言の発令によって、大企業がこぞって在宅勤務に移行したことで、東京を代表するオフィス街の大手町や丸の内から、文字通り人が消えた〔写真1〕。NTTドコモの分析によると、ゴールデンウィーク直前(4月28日午後3時時点)の大手町の人出は、感染拡大前と比べて70.9%減だった〔図1〕。

〔写真1〕にぎわいを失った東京・丸の内
〔写真1〕にぎわいを失った東京・丸の内
緊急事態宣言の発令に基づく外出自粛や休業要請の影響で、閑散とする東京・丸の内。4月30日午後に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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〔図1〕東京の主要スポットで人出が大幅減
〔図1〕東京の主要スポットで人出が大幅減
NTTドコモが携帯電話ネットワークを用いた「モバイル空間統計」ではじき出した4月28日午後3時時点の各エリアでの人口の増減率(写真:国土地理院、資料:NTTドコモ、©mapbox ©OpenStreetMap)
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 わざわざ会社に来なくても、意外に仕事は回る──。このように実感した企業経営者やビジネスパーソンは少なくないだろう。では、企業は何のためにオフィスを構えるのか。社会がかつてない変化を経験したことで、オフィスに求められる役割や機能の見直しが始まりそうだ。

 ワークプレイス設計の先駆的企業であるゲンスラーの天野大地クリエイティブディレクターは、オフィスの在り方の見直しが、「Re-think(再考)」、「Re-entry(回帰)」、「Re-activation(再活性化)」の3つのフェーズを経て進むと予想する〔図2〕。

〔図2〕3つのフェーズでコロナ禍から新たな日常へ
〔図2〕3つのフェーズでコロナ禍から新たな日常へ
在宅勤務を経験した後に、人数制限をしながらオフィスへ回帰するなかで、新たなワークプレイスの在り方が見いだされていく(資料:ゲンスラーへの取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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