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連載の最終回は耐火建築物で木の現しに挑戦した「高知県自治会館」を解説する。6階建てのうち、下層を鉄筋コンクリート造、上層を木造とした。スギ製材の筋交いを用い、内装制限の告示を活用して、木の現しを実現した。

高知県自治会館

■所在地=高知市本町 ■地域・地区=商業地域、防火地域 ■設計=細木建築研究所(建築)、桜設計集団(防耐火) ■施工=竹中工務店(建築)、サカワ(木構造) ■構造・階数=鉄筋コンクリート造に一部鉄骨造、木造・地上6階建て ■延べ面積=3648.59m2

 2000年の建築基準法改正で、木造で耐火建築物が設計できるようになり、20年までに7000棟を超える実例が建築されている。そのほとんどが、鉄骨造のように構造躯体の柱・梁を石こうボードなどで耐火被覆する「被覆型」と呼ばれるものだ。

 4~6階建ての建物も数多く建っており、1時間耐火構造が求められる上部4層を木造化する例が多い。細木建築研究所と桜設計集団が設計に関わり、16年9月に竣工した高知県自治会館も、1~3階が鉄筋コンクリート(RC)造、4~6階が木造の耐火建築物である〔写真1図1〕。

〔写真1〕木製ブレースが透けて見えるファサード
〔写真1〕木製ブレースが透けて見えるファサード
高知県自治会館は、高知市の防火地域に建つ6階建ての事務所ビル。1~3階をRC造、4~6階を木造とした耐火建築物である(写真:川辺 明伸)
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〔図1〕木の現し術はココに活用
〔図1〕木の現し術はココに活用
高知県自治会館の断面図 耐震要素の筋交い、壁と天井の内装制限、石こうボードに貼る柱や梁の形をした仕上げなどに現し術を用いている(資料:桜設計集団)
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 耐火建築物にはRC造のように、火災後も倒壊しないことが求められる。今回は、この耐火性能を木造で達成しながら、木を現しにする手法を紹介する。