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ビデオ会議は必須だが、正しく伝えて疲れも防ぐには図面や資料の事前共有やチャットの併用が有効だ。自宅や現場で図面に修正や指示を書き込むには、iPadに入力ペン「Apple Pencil(ペンシル)」が便利だと設計者が推す。

 建設関連の業務に欠かせない資料として、図面やスケッチがある。ビジュアルの資料を囲んで複数人で議論するのは、日常の風景だ。それらに図形や印、文字、絵などを書き込んで変更点を共有し、指示を伝える。

 それはテレワークでも変わらない。対面の機会が減る分、遠隔地間の共有を工夫しなければならない。

 CADの図面などは、いったんPDF形式に変換してから検討作業を進めるのが一般的だ。設計者に聞くと、タブレットと入力ペンを使い、図面PDFにチェックや修正、スケッチを書き込んだり、写真を張ったりして、関係者とやり取りする手続きは、既に設計業務のベースになっているという。

 中でも何人もの設計者が名を挙げるのが、iPadと専用の入力ペン「Apple Pencil」だ〔写真1〕。建設会社や設計事務所がテレワークを本格展開する際、iPadとApple Pencilに投資するのは一案かもしれない。

〔写真1〕Apple Pencilで図面に修正を書き込む
〔写真1〕Apple Pencilで図面に修正を書き込む
iPadに図面を表示し、Apple Pencilで修正指示を書き込んでいるところ(写真:取材協力の設計者A氏)
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 チェックや修正を入れた図面PDFを共有するだけで情報が正しく伝わるなら、コミュニケーションツールはメールやLINEでも構わない。今後は、設計者と現場担当者の間のコミュニケーションが重要になる。機能的な要件を伝えるのがメインなら、ビデオ会議を現場まで無理に広げる必要はないかもしれない。

 例えば、前パートで解説したようなiPadなどのモバイル端末に対応するビューワーで図面を表示し、画面をキャプチャーする〔図1〕。その画像に修正や指示を書き込み、PDF形式で保存。図面を見たい人に、メールの添付などで送る。簡易な伝達であれば、かなり現実味があり、かつ迅速に進むので有効なはずだ。

〔図1〕ペン入力なら、図面に指示やパースを書き加えやすい
〔図1〕ペン入力なら、図面に指示やパースを書き加えやすい
iPadに表示した図面をキャプチャーし、その画像にApple Pencilで修正指示を書き加えたところ。建設会社に勤務する設計者に再現してもらった。この例では左上に、修正後のパースを手書きで添えている(資料:取材協力の設計者B氏)
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 急いで返事をする必要があるときは、図面の修正などは手書きが早い。時間があれば、iPadに対応するCADツールで図面そのものを直してしまうことも可能だが、現場とのやり取りはクイックレスポンスを優先したい。大抵の場合、Apple Pencilでサラサラと書き込めば済む。

 設計者に取材すると、図面への書き込みに便利なiPadアプリとして、ノートアプリの「GoodNotes(グッドノーツ)」を周囲に勧めている例があった〔図2〕。PDFの他、画像やドキュメントファイルなども読み込めて、ノートをめくるように扱える。

〔図2〕完成イメージ画像にイラストを添えて発注者に伝える
〔図2〕完成イメージ画像にイラストを添えて発注者に伝える
店舗のCG(コンピューターグラフィックス)をiPadのノートアプリ「GoodNotes」に取り込み、Apple Pencilで陳列物のスケッチを書き込んだところ。発注者にイメージを伝えるには、これで十分な場合がほとんどだ(資料:取材協力の設計者C氏)
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 この設計者は、Apple PencilとGoodNotesの組み合わせで施工現場との図面のやり取りを電子化し、ペーパーレスにできた。「図面PDFに修正を入れたり現場写真の上にメモを書き込んだりすれば、ほとんど事足りる」と語る。また、発注者とのやり取りであれば、CG(コンピューターグラフィックス)のパースに手書きでスケッチを足すだけでも、修正や提案のイメージは伝わるという。

 GoodNotes以外にも、同様の機能を持つiPadアプリはいくつもある。価格や使い勝手を確かめてみよう。

 なお、iPadには複数の機種がある。Apple Pencilも2種類ある。iPadとApple Pencilの対応関係は機種によって異なるので、購入する際は注意が必要だ。そもそも古いiPadは、Apple Pencilに対応していない。