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新型コロナウイルス感染症は、住宅や店舗を中心に手掛ける中小設計事務所や工務店の事業にも深刻な影響をもたらした。経営安定のために求められる取り組みを、公認会計士の山内真理氏に解説してもらう。

 新型コロナウイルス感染症の拡大による経済的な影響の第1波は、中国の工場生産がストップし、資材の輸入ができなくなったために起こった。その影響を受けにくかった他の業界とは違い、戸建て住宅を手掛ける設計事務所や工務店などでは、先行して問題が顕在化した。

 なかでも工事を手掛ける会社は元来、日常的に一定のボリュームで資金の出入りがあるビジネスモデルで、一般に借り入れ依存度が高い傾向にある。着工の遅れや工事の中断などによって引き渡しが遅れると、各段階で見込んでいた入金が後ろ倒しとなり、資金が一気に逼迫してしまう。

煩雑で申請断念するケースも

 今回も、公庫などの特別貸し付けやセーフティネット保証付き融資の利用で借り換えや新規借り入れを実行し、手元資金の確保に動かざるを得なかった会社は多いはずだ。

 こうしたとき、まずは契約の延期や失注、案件の遅延といった状況に陥るのを防がなければいけない。「顧客との打ち合わせをオンライン化する」「オンラインで相談会を実施する」などの工夫を実施している会社もある。

 喫緊の資金対策として頼りにしたいのは、公的な助成・補助制度だ。その現状を以下に記す(制度の詳細は「無担保や無利子も 支援制度の活用を」を参照)。

 4月に入って私の事務所に多くの問い合わせがあったのは、やはり中小企業で200万円、個人事業主で100万円を上限とする「持続化給付金」だった。

 新型コロナ感染症の影響によって2020年1月以降のある月の売上高が前年同月比50%以上減であることが受給の要件。5月1日から受け付けが始まり、申し込みから2週間程度で払い込まれるとされている。実際に5月20日時点で、持続化給付金の着金を確認したという声が聞こえ始めている。

 返済不要の制度としては、休業した企業を対象とする「雇用調整助成金」もある。新型コロナ感染症に対応して条件を緩和している。ただし、手続きが煩雑なので、これまでは社会保険労務士に依頼して申請を進めるのが一般的だった。

 また、「支給額に上限があり、従来の給与水準を維持しようとすると企業側の負担が重い」「助成金支給までのタイムラグを考えると直近の資金繰りにならない」といった課題も指摘されている。申請を検討したものの、結局は断念するケースが多いと聞いている。

〔図1〕「非常時」の資金繰り
〔図1〕「非常時」の資金繰り
*1 「無担保や無利子も 支援制度の活用を」参照