中大規模木造の構造表現がより自由になってきている。例えば、発展途上のCLT(直交集成板)をどう活用していくか、その答えが見えてきた。屋根架構だけ載せる、軸組み工法と組み合わせるといったように、ハイブリッドが基本だ。その際、長さ10m超の原板をそのまま耐力壁にするなど、大判遣いが有効だ。この他、LVL(単板積層材)の耐力壁を見せながら無柱空間を生むなど、設計の幅は広がっている。

1 CLTの使い方を極める

(写真:安川 千秋)
(写真:安川 千秋)
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製品価格が高い、接合部に関する資料は少なく、計算・実験の手間や加工費もかさむ──。発展途上にあるCLTだが、最近の事例からは大きな方向性が見える。工場の原板に近い大判サイズで効率的に使ったり、ラミナが直交する構造特性を生かしたりすることだ。

ROOFLAG賃貸住宅未来展示場(東京都江東区)

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2 大空間をつくる仕掛け

(写真:住友林業)
(写真:住友林業)
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木材を現しにした大きな吹き抜けを実現するには、集成材の柱・梁を利用するのが1つの方法だ。部材のスパンや断面を調整するため、鉄筋コンクリート造の耐力壁などと組み合わせる工夫が見られる。耐力壁として、LVLを千鳥状に積み上げた例も出てきた。

住友林業筑波研究所 新研究棟(茨城県つくば市)

長門市本庁舎(山口県長門市)

 解説  「構造」との向き合い方