文部科学省の手引きに沿った木造3階建て校舎を、大判CLTを用いて実現した。CLTは床面のほか、長方形平面の短辺に3層通しで使用した。一方、長辺方向では木造軸組み工法を採用。柱や筋交いが意匠に表れる。
2020年4月に開学した「高知学園大学」。高知県初となる木造3階建ての校舎は、高知学園の広大な敷地で短期大学の校舎に隣接して立つ。
学園側は当初、鉄筋コンクリート造を考えていた。設計を手掛けた艸建築工房(高知市)代表の横畠康氏は、大学が管理栄養士や臨床検査技師を養成すること、学生の精神面への効果を考えて木造を提案した。建築基準法改正で15年6月から、3階建て校舎が1時間準耐火構造で建てられるようになったことが背景にある。国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業」に選ばれている。
約12mのCLTを3層通しで
CLTは床面と、短辺方向の壁面に使った。後者は両側の妻面と、中ほどの2カ所で耐力壁となる。一方、長辺方向は在来軸組み工法で、主に筋交いによる耐力壁とした〔図1〕。
パネル工法と軸組み工法を組み合わせ
短辺方向はCLTパネル工法、長辺方向は在来軸組み工法、と構造の考え方を変えている。CLTは両妻のほか、実習準備室の両側のX5通りとX6通りに立てた。一方、Y4通りと階段室のまわりは210角の柱を1mピッチで並べた。梁せいは700mmで、この上に90mm厚のCLTパネルを載せる形で固めている