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CLTパネルを1カ月弱自立
南側はグラウンドの砂埃が入らないように、また、内部で南側に並ぶのは採光が不要か最小限でいい部屋なので、閉じている〔写真4〕。両端の階段室だけはガラス張りで、ここでは3層通しで立つCLTが現しになり、建物の成り立ちを示している〔写真5〕。
〔写真4〕南側はグラウンドに対して閉じる
南側の外観。外壁はヒノキ板の目透かし張り。ヒノキ板は、防火上の外壁線である木片セメント板との間を90mm取り、縦どいや給排気のベントキャップなどを隠している(写真:艸建築工房)
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〔写真5〕3層通しのCLT壁が見える階段室
南側の両コーナーにある階段室では約12mの長尺CLTを3層通しで使っている様子が直接見える。このCLTは150mm厚のパネルを2枚張り合わせてボルトで固定しており、そのボルトも見せている(写真:艸建築工房)
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施工者は地元・高知市の岸之上工務店。CLTの施工では県内有数の実績がある。しかし、今回は難題が多かった。例えば、建て方では、梁と床を施工するまでの1カ月弱、CLTを自立させなければならなかった。そこで、支保工のような足場材を使い、風速30m/秒の風でもCLTが倒れないように堅固な仮設を組んだ〔写真6〕。同社建築部工事主任の田井丈士氏は、「今回の仮設計画や工事の進め方は、工期やコストから見れば最善だったと思う」と話す。
〔写真6〕従来の木造の概念を飛び越えた施工方法
2枚のCLTを張り合わせたものを自立させる。この塊で4トン弱ある(写真:艸建築工房)
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乾式のCLTと現場施工の基礎を精度よく接合するのは一苦労(写真:艸建築工房)
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人間の身長ほどの大きさの金物を取り付けた梁を、柱上に固定。CLTの壁は現し仕上げになるので、しっかり養生した(写真:艸建築工房)
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横畠氏は、中大規模木造を地域の大工技術で実現することを常に考えている。しかし、「従来の木造の施工方法の延長ではなく取り組まなければならない部分はある」と語る。