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 ゲーム開発などのカヤックは、新型コロナウイルスの感染リスクを抑制するため、オフィスを改装する。ポイントは、「3密」(密接、密集、密閉)を回避する「NO密(ノーミツ)オフィス」を掲げて、執務室や会議室をリニューアルする点にある。社員が安心して出社できるだけでなく、「出社したくなる」オフィスを目指す。

 3密の1つである「密接」への対策として、一部の会議室をリニューアルする〔図1〕。対面での会話が発生しがちな環境を改善するため、会議室に鏡を設置。鏡に向かって横並びに座れば、お互いが対面で話しているように感じられる仕掛けだ。その他に、階段を上り専用と下り専用に分けて、すれ違いを防ぐ対策もとる。

〔図1〕カヤックが「NO密オフィス」にリニューアル
〔図1〕カヤックが「NO密オフィス」にリニューアル
3密を回避するため、執務室や会議室を改装する。会議室に鏡を設置するイメージ。鏡に向かって横並びに座れば、お互いが対面で話しているように感じられる(資料:カヤック)
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互い違いに机を配するクラスター型レイアウトの様子。可動式の机を導入していたため、容易に変更できた(写真:安川 千秋)
互い違いに机を配するクラスター型レイアウトの様子。可動式の机を導入していたため、容易に変更できた(写真:安川 千秋)
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 「密集」を防ぐ対策として、固定席として運用している執務室のレイアウトを変更した。対面する机を1列に並べる方式から、互い違いに机を配するクラスター型と呼ぶ方式に変更。人同士の距離を離しつつ対面を防ぐ。また、会議室での密集を防ぐため、定員を減らして運用する〔写真1〕。

〔写真1〕会議室は定員1人のWeb会議室に
〔写真1〕会議室は定員1人のWeb会議室に
カヤックの「NO密オフィス」。4人分の椅子がある会議室では、定員を1人として運用する。社員は周りに気兼ねなくWeb会議ができる(写真:安川 千秋)
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 「密閉」を防ぐ対策として、会議室の換気対策を強化する。会議室にCO2センサーを設置して、室内外のCO2濃度の差が600ppm以上ある場合には窓を開ける。

 カヤックは、こうした取り組みによって、社員に出社を推奨する。出社を重視する背景の1つには、人事評価制度が関係している。人事評価に360度評価方式を採用しているため、社員同士が出社してコミュニケーションを密にとり、お互いの働きぶりを把握する必要がある。

 社員の出社を促すため、施設整備にも取り組んでいく。神奈川県鎌倉市内に点在しているカヤックのオフィスの1つで屋外にある「ガーデンオフィス」では、屋根などを追加して、バーベキューをできる会議スペースに改装する。楽しく仕事ができるスペースを設けて社員の出社を促す狙いだ。