オフィスビルの垂直移動に欠かせないエレベーター。毎日多くの社員が利用するため、乗り場やかご内の操作盤を定期的にアルコール消毒するビルも多い。この操作盤に触れずに目的階に行ける技術がある。
三菱電機の「ELE-NAVI(エレ・ナビ)」は、セキュリティーゲートと連動して、非接触を実現する〔写真1〕。
乗車号機をゲートで指定
利用者は、あらかじめ社員証などのIDカードに自席のある階を登録しておく。朝の出社時、セキュリティーゲートの読み取り部にIDカードをかざすと、エレベーターの乗車号機が表示される。そのエレベーターに乗れば、自席のある階に行ける。帰宅時は、乗車階の操作盤にIDカードをかざすと、ロビー階に行ける。いずれの場合も、ホールやかご内で操作盤のボタンを押す必要はない。
エレ・ナビは、行き先階が同じ利用者を同じエレベーターに案内することで、複数のエレベーターの運行を最適化するシステムとして開発された。IDカードで行き先階の情報を伝えることで、利用者を割り振っている。この機能が非接触に役立った。ただし、登録した階以外に行く場合は、行き先ボタンを押す必要がある。
さらに、同社のセキュリティーシステム「MELSAFETY(メルセーフティー)」と認証装置、「ハンズフリータグ」と呼ばれる小さなデバイスを使えば、執務室への入館も含めて非接触にできる。ロビー階のセキュリティーゲートでは、タグを持って通過するだけでゲートが開き、乗車するエレベーターが指定される。自席のある階で降りて、執務室の自動扉に近づくと認証装置がタグに反応して扉が開く。この間、エレベーターや自動扉の操作盤に触れなくていい。
利用者を割り振るエレ・ナビの機能は、かご内の密集防止にも役立つ。乗車率の上限を定員の半分や3分の1に設定すれば、設定人数までしか案内しない運用が可能だ。