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 水害に備えつつ、いかにコンパクトな街づくりを進めるか──。街づくりのマスタープランである「立地適正化計画」を作成する自治体の、悩みのタネとなっている。

 都市のコンパクトシティー化に向け、住宅や医療施設、商業施設などを集約する重要エリアとして計画の中で設定した「居住誘導区域」で、浸水被害が相次いでいるのだ。

 「令和2年7月豪雨」で被害を受けた福岡県大牟田市もその1つ。同市では、7月7日午前6時40分までの24時間降水量が観測史上最大の446.5mmを記録。市街地の広範囲が浸水して2人が亡くなった〔写真1〕。浸水したエリアの多くは洪水ハザードマップで浸水が想定されていたにもかかわらず、同市が18年3月に作成した立地適正化計画の中で、居住誘導区域に設定した地域だった。

〔写真1〕居住誘導区域内の避難所が孤立
(写真:国際航業)
(写真:国際航業)
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(資料:国土地理院と大牟田市の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
(資料:国土地理院と大牟田市の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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「令和2年7月豪雨」で浸水した福岡県大牟田市樋口町の様子。町は居住誘導区域に設定されており、北側には諏訪川が流れる。市内では死者2人、床上浸水1079件、床下浸水1719件の被害が生じた(7月28日時点)。避難所に指定されていた市立みなと小学校などが孤立する事態に陥った