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 交通の利便性や中心市街地の活性化にもたらす効果と、安全性をどう両立すればよいのか──。2019年10月の東日本台風による大雨で町内が広範囲にわたって浸水した茨城県の大子町は、頭を抱えていた。

 20年2月に着工予定だった新庁舎建設計画の再検討を余儀なくされたのだ。従来の計画では、現庁舎の西側の町有地に建設予定だった。しかし、東日本台風の影響で現庁舎の周辺が2mほど浸水〔写真1〕。建設予定地をかさ上げすれば、同規模の水害が発生しても新庁舎が被災することはないが、町は庁舎が孤立して災害時の活動が困難になる恐れがあると判断した。

〔写真1〕新庁舎の建設予定地が台風で浸水
〔写真1〕新庁舎の建設予定地が台風で浸水
2019年の東日本台風による大雨で浸水した茨城県大子町。写真は現庁舎の屋上から北西側を見た様子。19年10月13日撮影(写真:大子町)
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 県の洪水ハザードマップでは、現庁舎西側の町有地は3~5mの浸水が想定されている。大子町は、町有地を建設予定地に選ぶ際、水害リスクについても検討したものの、「水害時における対応について課題はあるが、中心市街地に近く利便性が高い」と結論付けた経緯がある。