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都市部ほど感染者数が多くない地方部でも、「感染爆発」に備える動きが出てきた。病院内で臨時の隔離病床や診察室を確保する方法として、簡単に組み立てられる什器の検討、導入が始まっている。

什器のポイント

(1)入手しやすい角材と固定金具で仮設医療ブースを構成
(2)診察室内に置けるサイズで対面式の感染対策フードを設計

 第二種感染症指定医療機関である足利赤十字病院では、感染拡大に備えて仮設の医療ブースや、対面式の感染対策給排気フードの設置を2020年5月から検討し始めた。第二種感染症指定医療機関とは、結核やSARSなど二類感染症の患者の入院医療を担当できる医療機関として都道府県知事が指定するものだ。

 同病院は11年に竣工。500床を超える規模で、設計は日建設計が担当した。地震など災害時の被災者対応を想定し、エントランスの横に300人を収容できる講堂を設けて、屋外からも直接入れる構造とした。

 新型コロナの流行に伴い、講堂に病室や診察室などの仮設医療ブースを置くアイデアを、日建設計が提案した。「ホームセンターにもある角材と固定金具でユニット化し、容易に組み立てられる設計とした」と、同社エンジニアリング部門設備設計グループの塚見史郎ダイレクターは話す〔図1〕。ユニットはキャスターを付けて医療用什器とみなす。20年秋に同病院で試行する予定だ。

〔図1〕臨時の病室や診療室をブースで確保
〔図1〕臨時の病室や診療室をブースで確保
足利赤十字病院では講堂の壁に医療ガス設備、ステージ下に簡易ベッドを備えている。図は講堂内に、木の角材を使った仮設医療ブースを並べたイメージ(資料:日建設計)
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診察室内で医師を守る

 一方、対面式の感染対策給排気フードは高さ約1.9mで、約2m×約85cmのスペースを2つに仕切ったものだ。HEPAフィルター付きのファンを載せ、医師側は空気を吹き下ろし、患者側は空気を吸い上げる〔図2〕。診察室での利用を想定して日建設計が提案。市場想定価格約130万円で製品化し、同病院に納入済みだ。

〔図2〕診察を安全に行える対面式フード
〔図2〕診察を安全に行える対面式フード
対面式の感染対策給排気フードの試作。実機を病院に納入済み(写真:日建設計)
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青色が医師、赤色が患者。患者の呼気が上昇して医師側に広がらないことを確認した(資料:日建設計)
青色が医師、赤色が患者。患者の呼気が上昇して医師側に広がらないことを確認した(資料:日建設計)
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