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感染症対策で重要なのが、ゾーニングだ。だが、中小規模の病院では、数多くの感染患者が入院することを想定しておらず、隔離が難しい例が少なくない。医療スタッフが効率的かつ安全に治療できる計画・設計が必要だ。

 医療施設で数多くのクラスター(感染者集団)が発生したことは、医療関係者に大きなインパクトを与えた。精神科など別の疾患を持つ患者や、高齢の患者などは、感染が起こっても、移動させたり、隔離したりすることが難しい実情が浮き彫りとなった。

 戸田建設では、専門的な感染症対策を取ることが難しい中小規模(200床以下)の一般病院や療養病院などを支援するため、2020年4月から「ゾーニング検討」のサービスを無償提供した。

 同サービスでは新型コロナの陽性患者が入院した場合を想定し、一般患者や医療スタッフ、物品などの動線と汚染範囲を分析。その結果を踏まえて、院内感染対策を行うための施設利用プランを検討、提案した。

 同社は、サービスを提供した全国72施設(6月12日時点)を対象に、施設フロアの配置なども分析。4割弱の施設で、隔離エリアの設置などが難しいことが分かった〔図1〕。

〔図1〕中間領域を形成しにくい施設が複数存在
〔図1〕中間領域を形成しにくい施設が複数存在
中小病院など72施設を戸田建設が分析。医療スタッフが更衣するイエローゾーンを形成できるか、隔離エリアが病棟の端部か中間部かの2軸で置くと4群に分かれた(資料:戸田建設)
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 「中小の病院では、医療スタッフが防護服を脱着するイエローゾーンを設定できないことが多い。だが感染症対策では、その確保が最も重要だ」と、同社常勤顧問の竹村和晃・医療福祉プリンシパルは力説する。

 同社の分析結果によると、個室が病棟の中間部よりも端部にあった方が、一般動線などと交錯せず隔離しやすい〔図2〕。また、イエローゾーンは病室の前室に置くことが望ましく、感染者が前室を経由せずにトイレや洗面台を使えるレイアウトが重要であることが分かった〔図3〕。

〔図2〕個室分離や消毒のしやすさなどを考慮
〔図2〕個室分離や消毒のしやすさなどを考慮
個室を病棟端部に置く方が隔離しやすい。ただし、新型コロナの患者は病状が急変するケースがあるので、あえてスタッフステーションの近くに隔離病室を置く病院もある(資料:戸田建設)
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〔図3〕個室は水回りの置き方が重要に
〔図3〕個室は水回りの置き方が重要に
医療スタッフの動きやすさで個室のプランを比較。感染患者が過ごすレッド、感染患者がトイレなどで一時的に往来するオレンジ、感染患者対応の医療スタッフが往来するイエローでゾーンを分けている(資料:戸田建設)
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