暖かい家への改修は、フルリフォームでなければかなわないと諦めるのは早い。前真之・東京大学准教授はコストを最小限に抑えた「部分リフォーム」でも、実現可能だと話す。設計時の工夫についてみていこう。

日本にストックされている住宅の多くは、断熱・気密がほとんど施されていないため、冬場が極端に寒い。かといって暖房を家中のあちこちでONにすると、今度は暖房費が心配になる。古い家では冬が来るたび、この寒さと暖房費の負担にただ耐え続けるしかないのだろうか。
フルリフォームと違って家中をもれなく断熱できない部分リフォームにおいては、効果の大きい場所から強化することが肝心。中でも決定的に断熱・気密が弱い「窓」を最優先し、続いて「床」に手を付けるのが定石となる〔図1〕。
さらに天井まで断熱できれば夏の日射熱の抑制にも効果が期待できる。壁まで断熱できれば最高だが、窓や床よりも手間とコストがかかるので、内外装や耐震改修などで壁を開ける工事があれば、「ついでに断熱」が現実的だろう。