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新型コロナ感染拡大の影響もあり、一気に関心が高まった「換気」。だが、東京大学の前真之准教授は「いいかげんに扱われてきた設備だ」と指摘する。連載初回は、空気質の維持に欠かせない換気設備について解説する。

(イラスト:ナカニシミエ)
(イラスト:ナカニシミエ)
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 換気設備は空気の質を確保するために最重要な「主役」だが、非常にいいかげんに扱われている設備。清潔な空気を室内に届ける換気計画について、いま一度考えてみよう。

 まずは換気設備の基本から。建築基準法の改正で「機械換気設備の設置」が義務化されたのは2003年。住宅の居室に必要な換気量は、「換気回数0.5回/h」だ。この通称0.5回ルールはつまり、「1時間に室内の半分の空気を入れ替えられる能力」の換気設備を付けることを求めたもの。

 このとき必要とされたのが、住宅全体を換気する「全般換気」だ。全般換気を担う換気設備は、給気・排気のどれを機械換気とするかで、大きく3種類に分けられる〔図1〕。

〔図1〕全般換気はそれぞれに長所と短所あり
〔図1〕全般換気はそれぞれに長所と短所あり
全般換気設備は3つに分類されている。現在、最も普及しているのは、排気のみ機械換気の第三種。従来からの局所換気に似た簡便なシステムで低コストだが、短所も多い。近年は、熱交換換気や外気フィルターが組み合わせやすい第一種も広まりつつある(資料:前 真之)
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 排気だけ機械で行う「第三種換気」は、各居室の外壁に防虫網とフィルターがついた給気口を取り付け、ここから外気を取り入れる。排気は従来の換気扇から進化したパイプファンや浴室換気装置を用いている。従来の局所換気に給気口と長時間運転できる排気ファンを追加しただけの、かなり簡便なシステムなので、設置コストも手ごろだ。

 最近増えているのは、給気・排気ともに機械換気を行う「第一種換気」。設備が複雑で設置コストもかかるが、空気質の確保には最も有利だ。給気と排気の間で熱と湿気の回収を行う「熱交換換気」とも組み合わせやすいので、暖冷房の省エネにつなげやすいことが最大のメリットである。

 残る「第二種換気」は、給気のみ機械換気を行う方式で、外からの汚染を嫌う病院などでは一般的だ。住宅での採用は少ないが、給気を太陽熱や地中熱で予熱する場合に用いられている。