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新型コロナ対策で換気を徹底するあまり、体を冷やして風邪をひいてしまうようでは本末転倒。前真之・東京大学准教授はこう危惧する。寒さが本格化する前にいま一度、換気設備について考えてみよう。

(イラスト:ナカニシミエ)
(イラスト:ナカニシミエ)

 人が片時も休まず体の奥に取り入れる、空気の質はとても大事。かの有名なナイチンゲールも1859年発行の「看護覚書」で、「看護において最も重要なのは、患者が吸う空気を患者の体を冷やすことなく、外と同じく清浄に保つことだ」と、言い切っている。「空気質の確保」を最重要視するとともに「換気に伴う寒さ」に悩んでいたことがうかがえる。

 冬にせっかく暖めた(ただし汚れた)室内の空気を捨てて、代わりに新しく取り入れた清浄な外気(ただし冷たい)を暖めるには、それなりの暖房負荷が発生する。「換気をしながら寒さや暖房の増エネを防ぐ」手法をみていこう。

生の外気は寒さと暑さの原因に

 換気に伴い外気が直接入ってくる給気口周りは、冬に冷え込みやすくなる〔図1〕。冷たい外気を暖めるために、暖房の消費エネルギーも増加してしまう。居住者が寒さを感じて給気口を閉じてしまうと換気できなくなり、室内空気質を悪化させるのもよくある問題だ。

〔図1〕熱交換のない給気口は設置場所にご用心
〔図1〕熱交換のない給気口は設置場所にご用心
第三種換気の給気口からは、生の外気が侵入する。冬には冷たく乾燥した空気がそのまま入ってくるので、特に給気口の位置が下側にある場合は冷気が足元にたまり、不快の原因になりやすい(資料:前 真之)
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 また、夏には外の暑くて湿った外気が直接侵入してくるので、冷房の増エネや不快の原因につながる。

 特に、日本で広く普及している第三種換気(排気のみ機械換気)は、外気をそのまま給気するので、寒さを感じさせない工夫が必要になる。給気口は上吹き出し型を採用し、冷気が暖房設備の暖気で速やかに暖められる位置に配置するとよい。