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長期間の自粛生活は、人々が住宅の価値を見つめ直す機会にもなった。早くもその変化の兆しを捉え、次の設計に動き出している住宅設計者たちがいる。5組の取り組みから、「ウィズコロナ時代の住宅像」を探る。

 「外」を使う 
テラスを居場所に一体利用を促す仕掛け
■設計者:ア・シード建築設計

在宅時間の長期化に伴い、設計者が改めて注視する要素に「外部空間の取り込み」がある。2020年夏に竣工した賃貸集合住宅は、オーナーの要望で1階住戸にリビングと一体的に使える屋外テラスを持つ。

 屋外にもリビングのような居場所をつくり、生活を多様に楽しめる住宅にしたい。2020年7月に竣工した「Forest Court ASAGAYA」(東京都杉並区)は、そんな意図を込めた長屋タイプの賃貸集合住宅だ〔写真1〕。1LDKの住戸を1階と2階に2戸ずつ配している。コロナ禍の6月後半に3戸の募集を開始し、7月上旬までに入居者が全て決まった。

〔写真1〕網戸付きのテラスを設置
屋内のリビングで右手にテラスが写る(写真:ナカサアンドパートナーズ)
屋内のリビングで右手にテラスが写る(写真:ナカサアンドパートナーズ)
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北面外観(写真:ナカサアンドパートナーズ)
北面外観(写真:ナカサアンドパートナーズ)
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テラスは鋼板で囲い、上を網戸で閉じて半屋内化した

 設計はア・シード建築設計(埼玉県川口市)が手掛けた。同社の並木秀浩代表は、「外出自粛を体験し、生活を楽しむことの重要性を感じた人は多いのではないか。外部空間も含めて、気持ちよく過ごせる居場所のある住宅の必要性は増す」と説く。

 建物の特徴は、入居者が日常的に使える外部空間を各住戸に設けたことだ。1階住戸にガーデンテラス(以下、テラス)を、2階住戸には日よけタープを備えたルーフバルコニーをそれぞれ設置した。

 このうち1階住戸のテラスは、リビングの窓幅に合わせて鋼板のフェンスで囲い、屋内外の一体感を高めた。テラスの上部は取り外し可能な網戸をかぶせ、夏でも虫を気にせずに過ごせるようにした。いずれも屋内リビングの延長でテラスを利用してもらうための工夫だ。