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建築現場の上空でもドローンのローター音が響き始めている。複雑な工程も空から見れば一目瞭然。先行する大手建設会社の活用事例を見ていこう。

(写真:竹中工務店)
(写真:竹中工務店)
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 竹中工務店は大型施設におけるステンレスシーム溶接屋根のシーム(継ぎ目)溶接部検査に、ドローンを導入した。すでに適用事例があり、特許出願済みであることも公表している。溶接が完了した屋根の上でドローンを飛ばし、溶接したシームに沿って可視光画像を撮影。実際の検査は画像を見て屋内で実施するというものだ〔写真1〕。

全長10km超のシーム溶接
ドローン撮影で画像検査
竹中工務店

〔写真1〕検査風景が一変した

上は従来の検査作業のイメージ。何人もの人員が屋根面にはいつくばる必要があった。下はドローン撮影の模様。作業者が大幅に減り、作業姿勢も一変した(写真:竹中工務店)
上は従来の検査作業のイメージ。何人もの人員が屋根面にはいつくばる必要があった。下はドローン撮影の模様。作業者が大幅に減り、作業姿勢も一変した(写真:竹中工務店)
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 大型施設では1つの屋根の面積が3000m2超となることもある。同社によるとシーム溶接の総延長が18kmに達した例もあり、この品質検査は長年、悩みの種だったという。

 「屋根面を歩いて、見下ろすだけでは不具合は分からない。肘当て、膝当てを付けてはいつくばり、シームを側面から見る必要がある。そんな大変な検査工程なのに、検査記録は平面図のシーム線に1本ずつチェックを入れていくだけ。それで品質管理の記録と言えるのか、モヤモヤした思いを持っていた」

 こう話すのは、竹中工務店で開発を主導した北関東支店の深沢茂臣作業所長。同社の「スマートタイルセーバー」の開発担当者と同一人物だ(「『スマートタイルセーバー』、20年7月から“試験飛行”開始」参照)。外壁タイルの診断技術と並行して、シーム溶接の検査工程の機械化にも取り組んだ。屋根面は外壁と同様、人間の視覚や触覚などに頼っており、機械化の恩恵が大きい領域だった。