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設計意図を伝えるため、設計者もドローンを使い始めた。超高層のプロジェクトでは、ドローンで眺望を撮影して発注者にその魅力を訴求する。建物が完成してからは、空間の魅力を伝えるためドローン撮影を試みている。

 浜離宮恩賜庭園(東京都港区)を見下ろす位置に2020年4月、「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」のホテルやオフィスが開業した。浜離宮の庭園と汐留の超高層ビル群が織りなす歴史のコントラストに着目し、高層棟の各階にテラスを設けて“眺望”を確保している。

 設計を担当したJR東日本建築設計は、プロジェクトの鍵を握る眺望を確認するため、設計の早い段階でドローン撮影を実施した。その画像をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と組み合わせたイメージ図を作成して、発注者に提示した。完成後に撮影した写真と比べると、浜離宮の庭園や背景の超高層ビル群がほぼ合致している〔図1〕。

発注者とのイメージ共有を前倒し
JR東日本建築設計

〔図1〕設計段階のイメージ通りに完成

ウォーターズ竹芝のタワー棟にあるホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」の26階客室chapter4 Suite Luxeから浜離宮恩賜庭園を見る。設計段階の画像(資料:東日本旅客鉄道、JR東日本建築設計)
ウォーターズ竹芝のタワー棟にあるホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」の26階客室chapter4 Suite Luxeから浜離宮恩賜庭園を見る。設計段階の画像(資料:東日本旅客鉄道、JR東日本建築設計)
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完成後の写真。浜離宮の庭園や背後の高層ビル群がほぼ合致している(資料:東日本旅客鉄道、JR東日本建築設計)
完成後の写真。浜離宮の庭園や背後の高層ビル群がほぼ合致している(資料:東日本旅客鉄道、JR東日本建築設計)
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 「設計の早い段階では3次元地図を使って白いボリュームモデルでランドマークとなる周辺建物の見え方を確認しながら進めた。ドローンで撮影した画像は、その答え合わせのような位置づけだ」と建築設計本部まちづくり推進部門の朴明浩担当部長。ドローン映像は、発注者とイメージを共有する決め手となった。

 ドローン映像は、向かい合う建物との見合いの状況を確認する点でも有効だった。相手の視線が気になる場合は、ホテルの客室やレストラン個室のガラスにフィルムを貼るなどの対策を検討した。

 同社が今、取り組んでいるのは、大規模開発の計画内容を伝える動画にドローン映像を利用することだ。更地の計画地をドローンで撮影して、その映像とBIMで設計した建物のモデルを組み合わせて動画をつくる。周辺エリアから計画地に近づくルートや、高さや時間帯の異なるルートを撮影しているという。「プロジェクトの様々な表情を動画で説明する。建物の間を飛んでいるような疾走感のある動画は、ドラマチックな演出になる」と朴氏は語る。

 JR東日本建築設計では、竣工写真の撮影にもドローンを飛ばしている。最初に採用したのは、2017年に完成した小淵沢駅(山梨県北杜市)だ〔写真1〕。ドローンで南側から駅舎を見下ろすと、背景に八ケ岳が見える印象的なカットが撮れた。現在は年間20件程度の物件にドローン撮影を取り入れている。

〔写真1〕年間20件をドローン撮影
〔写真1〕年間20件をドローン撮影
JR東日本建築設計では、年間約20件の竣工写真にドローンを活用する。写真は最初にドローン撮影を導入した小淵沢駅(資料:JR東日本建築設計)
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動画撮影を実施したJR仙台駅直結のホテルメトロポリタン仙台イースト(資料:JR東日本建築設計)
動画撮影を実施したJR仙台駅直結のホテルメトロポリタン仙台イースト(資料:JR東日本建築設計)
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