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先行する土木分野とは異なり、建築分野では都市部での使用が前提となる。他人の家の上空を飛ぶ際など、他者の権利侵害にならないかが気になるところ。ドローンの法的問題に詳しい林浩美弁護士に、都市部特有の問題について聞いた。

林 浩美氏
森・濱田松本法律事務所
林 浩美氏 1994年まで日本興業銀行勤務。97年東京大学法学部卒業、2001年弁護士登録。06年米国ハーバード大学ロースクール卒業、07年米国ニューヨーク州弁護士登録。17年に共著で「ドローン・ビジネスと法規制」(清文社刊)を出版(写真:池谷 和浩)

Q.他者が所有する土地の上空でドローンを飛ばして大丈夫?

 「第三者上空」のドローン飛行を巡る法的課題は、現在も積み残っている。その1つが所有権との関係だ。

 民法は土地の所有権について「法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」(民法207条)と規定しているものの、「上下」が具体的に何メートルを指すのかを規定した法令はない。

 一般的な例としては航空機の考え方がある。航空機は通常、非常に高い上空を通過するため、その下の土地所有者による差し止め請求権や損害賠償請求権は認められない。

 これは、航空機が飛行する高度には所有権はそもそも及ばないか、または所有権は消滅してはいないものの実際に「使用収益」を妨げられていない限り、権利の乱用に当たるとされているからだ。

 土地の代表的な使用収益権には「構造物を建てられる」ことがある。都心の商業地域などと郊外の住居地域でこの高度が異なるのは当然だ。従って、当該敷地の用途地域における高さ制限より高い高度であれば、仮に他者のドローンが上空を飛んだとしても使用収益が害される可能性は低い、と言えよう。

 どのような高度で飛ばすにせよ所有者の同意を得る、あるいは周知する、といった対処が無難ではあるが、現実には難しい場合もあるだろうし、ビジネスにとっては、それに要する費用・時間がネックとなる。

 例えば建物の点検など社会的に必要とされる一定の用途について、十分な安全性の確保を大前提として、「土地の使用収益を害さない高さを飛行する限り、原則として所有権侵害には当たらないと考えられる」という公的ガイドラインが示されれば、大きな社会的インパクトがあるのではないか。そうしたガイドラインをつくりやすくするためにも、今後、ドローンの有用性がより広く認識される必要があるだろう。

 なお、墜落事故で他者に損害が生じた場合、当然だが使用者の責任が問われる。

A.土地所有権が及ばない範囲があるはずだが、法的にはグレー