大学の都心回帰が進むなか、郊外立地でも学生数を大きく伸ばした学校がある。設計者の安藤忠雄氏は、10年以上をかけて5つの施設で大学側の思いを具現化してきた。旧短大の既存校舎も活用し、大学の成長に合わせて1棟ずつ整備したものだ。最近は、学生ニーズの幅は広がり、新型コロナウイルスなどへの対応も欠かせない。キャンパスや学びやをどう育てていくか。将来像を先読みした設計が求められている。

特集
育てるキャンパス
10年先を見据えた設計で自分なりのマスタープランを描く
目次
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郊外キャンパスに安藤建築の力
大学の成長とともに施設を拡張
10年以上かけて、安藤忠雄氏の設計による施設を順次、建て増してキャンパスを拡張。統一感のあるキャンパス整備を進めてきたその間に、学生数は10倍に増加した。
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学びと生活を混ぜて国際交流
塀のないキャンパスその後
立命館大学大阪いばらきキャンパスに、グローバル人材を育成する複合施設が完成した。上階は学生寮だが、1~2階に能舞台や茶室、日本庭園などを設け、国際交流の拠点としている。
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授業のリモート化で教室再編へ
どうなる大学キャンパス
大学の経営に詳しい鎌倉女子大学の山本清教授、大学の設計実績が多い東海大学の岩崎克也教授。専門的な視点の2人には今後のキャンパス像はどう映るのか。これからの大学について聞いた。
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緩やかに連なる“街”を形成
設計者が描くマスタープラン
40数年前に創立したこども園に2020年、子どもたちが昼食を取るための新棟が加わった。園では既存棟に順次機能を建て増ししており、設計者は完結することのないマスタープランを描く。
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専門家が教室づくりを手助け
オープンスクールその後
教室と廊下を仕切る壁のない開かれた学校として有名な美浜打瀬小学校。設計者はCAtだ。建築計画などの専門家が教室づくりの支援を続けており、使い方を育てていくための方策を示している。
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居場所がない学校が問題だ
これからの学びの場
子どもの遊び場を研究するとともに、多くの学校施設の設計を手掛けてきた仙田満氏。これからの教育空間では、子どもの逃げ場ともなる居場所づくりが重要だと仙田氏は説く。