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教室と廊下を仕切る壁のない開かれた学校として有名な美浜打瀬小学校。設計者はCAtだ。建築計画などの専門家が教室づくりの支援を続けており、使い方を育てていくための方策を示している。

 「着任した当初は、使い方が分からず戸惑った」。こう語るのは、千葉市立の美浜打瀬小学校で6年生の担任を務める西崎峻広氏だ。2006年に開校したこの小学校の近くには、日本建築学会賞(作品)を受賞した千葉市立打瀬小学校(1995年開校)が立つ。

 ともに教室と廊下の間に壁を設けないオープン型のプランで知られる〔写真1〕。美浜打瀬小では、教室の後ろに、ランドセル入れなど可動式の家具を配置。教室同士の間には、多人数が集合できる学年共有のスペースなどがある。

〔写真1〕オープン型の教室を持つ小学校
2006年4月に開校した千葉市立の美浜打瀬小学校の内観。写真手前から左奥に向かって廊下が延びており、教室との間には仕切りがない。新型コロナ対策として机同士の間隔を広くしている
2006年4月に開校した千葉市立の美浜打瀬小学校の内観。写真手前から左奥に向かって廊下が延びており、教室との間には仕切りがない。新型コロナ対策として机同士の間隔を広くしている
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小学校の外観。地域に開かれた塀のない学校だ(写真:日経アーキテクチュア)
小学校の外観。地域に開かれた塀のない学校だ(写真:日経アーキテクチュア)
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 西崎氏が戸惑ったと語るのはまさしく、特徴的な教室の使い方だ。2013年度に着任する前は、教室と廊下が壁で仕切られた一般的な小学校に勤務していたからだ。着任当初は、可動式の家具を間仕切り代わりに使っていた。