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建築界にはびこる法令違反。東京都目黒区内の施設では、設計者による確認済み証の偽造が発覚した。是正措置などに時間を費やし、開業は1年以上も遅れる事態に。発注者の怒りは収まらない。まずはそのあきれた顛末を見てほしい。

 「ようやく完成して、ひと安心だ」。街づくり事業などを手掛ける東証2部上場企業、ピーエイの加藤博敏社長は、ほっと胸をなでおろすと同時に、激しい怒りを覚えていた。「必ず報いは受けさせる」と──。

 11月6日、東急目黒線西小山駅から徒歩1分ほどの場所に開業したクラフトビレッジ西小山(東京都目黒区)は、コンテナを利用した建物とオープンテラス、中庭が特徴の開放的な商業施設だ。道路を挟んで向かい合う商業棟と事務所棟から成る。

 この土地は都市再生機構(以下、UR)が保有している。URは2年ほど前、にぎわい創出を目的とした施設を整備しようと、建設や運営を担う事業者を公募した。2018年12月、事業者に選定されたのがピーエイだった。それは、加藤社長の苦難の道のりが始まった瞬間でもある。

 というのも、クラフトビレッジ西小山の建設段階で、設計者が商業棟の確認済み証を偽造していたことが発覚。完成間近だった施設を特定行政庁の目黒区の指示で一旦撤去し、設計・施工を一からやり直す事態に陥ったからだ〔図1〕。19年7月を予定していた開業は1年以上も後ろ倒しになり、事業計画は大きく狂った。

〔図1〕是正を命じられて完成間近の建物を撤去
当初の計画では、30台のコンテナを連結させたカラフルな施設だった。確認済み証の偽造が発覚した翌月の2019年7月30日に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
当初の計画では、30台のコンテナを連結させたカラフルな施設だった。確認済み証の偽造が発覚した翌月の2019年7月30日に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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コンテナを撤去
コンテナを撤去
ピーエイは2019年8月にコンテナの撤去に着手(写真:ピーエイ)
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基礎を撤去して更地に
基礎を撤去して更地に
コンテナだけでなく基礎部分も撤去して更地に戻した(写真:ピーエイ)
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再設計・再施工
再設計・再施工
是正工事と再設計・再施工を経て、2020年11月に開業。延べ面積は約1604m2(資料:ピーエイ)
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