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コロナ禍の中、店舗の営業やオフィスの使用を続けるには、感染防止対策が欠かせない。そんなニーズに応えるため、建材・設備メーカーは対策製品の開発に積極的だ。数ある製品の中から、他社と一線を画すコロナ対策を盛り込んだ製品をピックアップした。

 新型コロナの感染拡大以後、人々の生活様式は一変した。特に多くの人が出入りする、店舗やオフィスでは感染防止が喫緊の課題となり、事業者の多くが対策を求めている。今、空間づくりのプロとして提案できることは何か──。

 ここでは、3密(密閉、密集、密接)対策、抗ウイルス、非接触、ウェブ会議といった視点からピックアップした製品を紹介する。

3密対策
飲食店向けの「後付け換気」

 ダイキン工業は2020年9月、小規模な飲食店をメインターゲットとした業務用換気装置「ベンティエール」を発売した。既存店舗への導入を想定して、後付けで露出設置が可能な仕様としている〔図1〕。

 注目製品❶ 3密対策 

〔図1〕ベンティエール/ダイキン工業(製品名/メーカー名、以下同様)
後付けで設置可能な換気装置
後付けで設置可能な換気装置
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換気を隙間風に頼っているような小さな飲食店でも、導入しやすいよう配慮した。同社のエアコンと接続して「換気ができるエアコン」にもできる
換気を隙間風に頼っているような小さな飲食店でも、導入しやすいよう配慮した。同社のエアコンと接続して「換気ができるエアコン」にもできる
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価格:22万9000円(税別、本体標準価格。以降、特記のないものは税別)(写真:日経アーキテクチュア、資料:ダイキン工業)

 開発を主導した同社空調生産本部商品開発エグゼクティブリーダーの松岡弘宗氏は次のように話す。「普段から個人的に利用している飲食店の店主が、十分な換気対策ができずに困っていたことが製品開発のきっかけだ。コロナ禍にある現在、換気製品で小規模店舗を救済したい」

 新型コロナの感染が拡大していた20年3月、国は集団感染防止のための方針を打ち出し3密防止の一環として「換気」を求めた。だが、小規模な飲食店の多くは、隙間風による換気が主流で、十分な換気ができているのか分からないケースが多い。加えて、入り口や窓を開けて換気すると、冬の冷気や夏の熱風が客席フロアに吹き込み快適な環境を提供できず、電気代も高くなる。こうした課題を解決するため、業務用換気装置を開発した。

 ベンティエールは、給気と排気の両方にファンを搭載し、ダクトを用いて店舗内を計画的に換気する。1時間当たりの換気量は250m3で、1人当たり30m3とすると8人分に相当する。また、空気の入れ替えの際に熱を逃がさない全熱交換換気を採用。内部に熱回収装置を搭載しており、排気の熱を装置内の超薄膜型エレメントを通して給気に伝える仕組みだ。同社の試算では、窓開け換気に比べて夏のピーク時の消費電力を約半分にできるという。

 本体を黒塗りに仕上げるなどデザインにも配慮し、露出設置を前提とした。換気装置を見せることで、顧客に安心感を提供するという。

混雑状況をスマホに表示

 ベンチャー企業のバカン(東京都千代田区)は、商業施設やオフィスなどの混雑状況を可視化するサービス「VACAN」を提供する。飲食店の空席の有無やトイレの混雑状況、オフィスの会議室の空き情報などを、リアルタイムで表示する〔写真1〕。

 注目製品❶ 3密対策 

〔写真1〕VACAN/バカン
混雑状況を可視化するサービス。商業施設のデジタルサイネージなどに混雑状況を表示する
混雑状況を可視化するサービス。商業施設のデジタルサイネージなどに混雑状況を表示する
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スマホアプリ「VACAN Maps」
スマホアプリ「VACAN Maps」
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価格:初期費用1万円~、月額利用料980円~(使用するセンサーやサービスによって変動)(写真:バカン)

 混雑状況は、画像解析を行うAI(人工知能)カメラや、各種センサーなどで把握する。その結果を同社が公開しているスマホアプリ「VACAN Maps」で、地図上に一覧表示する。商業施設の入り口に設置したデジタルサイネージなどにも表示可能だ。また、入店人数を制限する際、ウェブ上で待ち順を管理でき、店頭に行列ができるのを避ける。

換気情報と混雑状況の両方を

 新コスモス電機は20年11月、換気情報と混雑状況をどちらも計測するサービス「三密おしらせシステム 換気予報」を発売した。ソフトバンク関連会社のエンコアードジャパン(東京都港区)が提供する「コネクトCO2センサ」と「コネクトセルラー」を活用している〔図2〕。

 注目製品❶ 3密対策 

〔図2〕三密おしらせシステム 換気予報/新コスモス電機
「コネクトCO<sub>2</sub>センサ」と通信モジュール「コネクトセルラー」からなる。収集したデータをクラウドに蓄積し、スマホアプリなどで表示する。換気情報は、「良好」「今すぐ換気」など、4段階で表示する
「コネクトCO2センサ」と通信モジュール「コネクトセルラー」からなる。収集したデータをクラウドに蓄積し、スマホアプリなどで表示する。換気情報は、「良好」「今すぐ換気」など、4段階で表示する
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価格:オープン価格(資料:新コスモス電機)

 コネクトCO2センサは、CO2濃度を測定し、数値や4段階の色で機器上に表示する。コネクトセルラーは、コンセントに差し込むだけでコネクトCO2センサの通信モジュールとなる。さらに、周辺にあるスマホなどのWi-Fiの電波を拾い、その台数から人の数を判断して混雑状況を見える化する。さらに、収集したデータをスマホアプリなどで表示できる。

 鳥取県米子市のベンチャー企業、ピープルズコンピュータの「SWAN」もCO2濃度を計測する製品だ。CO2濃度に応じて、内蔵LEDが緑から赤に変化し、換気を促す。