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スーパーゼネコン同士による異例の技術連携を発表した竹中工務店。その仕掛け人は「建築の楽しさを守ろう」とライバルたちに声をかけたという。積極的な情報発信こそがオープンイノベーションを生む源だと捉える。
ライバル関係にあるスーパーゼネコン同士が手を組んだ。ターゲットは建築工事の現場で活用するロボットやIoT(モノのインターネット)技術。鹿島と竹中工務店が2020年1月に発表した技術連携は建設業界の内外に驚きをもって伝えられた。10月には清水建設の合流を発表。ロボットの相互利用や、新規ロボットの共同開発などに取り組む。
協業の立役者となったのが竹中工務店執行役員技術本部長の村上陸太氏だ。「建物をつくるときには、みんなで喜びを分かち合える楽しさがある。ただ、巨大IT企業の出現など世の中が変わるなか、今まで通りのやり方を続けていたら建築の楽しさが奪われかねない。鹿島や清水建設の人には楽しさを守りましょうと言って声をかけた」と話す。
建設会社はこれまで同じ建設機械メーカーと取引をして似た実験をしているにもかかわらず、結果を共有できず、各社が同じ失敗を繰り返してきた。村上氏は、「最初はデータを提供し合いそれぞれ別に実験するという話だったが、それであれば一緒にやったほうがより効率的だろうとなった」と話す。